Scope3 カテゴリ9~13について徹底解説!各カテゴリの概要と排出量算定方法をわかりやすく紹介

温室効果ガスの算定において、Scope3に挑戦する企業が増えています。
Scope3の算定を行うにあたって、相談を受ける中そこで多いのがScope3の15のカテゴリーの外枠を把握したいというニーズ です。

算定担当者の方は、コンサル、ツールを検討するのに上長や経営陣に説明を求められたり、算定のためのデータを収集するのに他の部署へ説明する必要があったりする中、ある程度Scope3の概要を理解しておくことが必要になります。

Scope3 カテゴリ1~5について解説 

Scope3 カテゴリ6~8,14,15について解説

本記事では、上長や社内の関係者へ説明できる水準でScope3の各カテゴリ9~13について説明していきます。

目次

カテゴリ9 輸送(下流)


カテゴリー9は、輸送(下流)と表現されていますが、主に自社から消費者、納入先への輸送(倉庫など物流拠点での温室効果ガス排出も含む)で自社が費用負担していないものをこちらで算出します。
自社が費用負担している部分については、輸送(上流)で算出します。

輸送(上流)と同じく、以下の3つの方法で算定することが推奨されています。

燃料法

配送にかかっている燃料がどれくらいかを把握して、その燃料の使用量に応じて温室効果ガスの排出量算定します。

燃費法

配送している距離と配送している車種及び燃費が分かっている場合に使いますが、配送している距離を把握するのが非常に難しいです。

トンキロ法

運ぶ重量と距離でトンキロを算定し、それに運んでいる車種の原単位を用いて算定します。

ですが、輸送(下流)は、費用負担が生じない部分であることからも非常にデータ取りが難しい部分であり、算定からカテゴリを除外するガイドラインの

・排出量が小さくサプライチェーン排出量全体に与える影響が小さいもの

・排出量の算定に必要なデータの収集等が困難なもの

という項目を参考に算定から除外されているケースも多いです。

▼参考:Scope3カテゴリ9-輸送・配送(下流)について具体的に解説

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カテゴリ10 販売した製品の加工


カテゴリ10、販売した製品の使用は、もう少し分かりやすく言い換えると事業者による中間製品の加工に伴う排出の部分を算定していきます。

自社の商品を出荷して、その後さらに加工して販売されている場合、その加工時に使うエネルギーにより発生している温室効果ガスが対象になります。

カテゴリ11に関しても、なかなかデータ取りが難しい部分であるので、算定から外さざるを得ない場合も多くあります。

各企業での温室効果ガスの可視化が進んでいく中で、徐々に算定できるデータを取っていけるようになるのではないかと想定しています

▼参考:Scope3カテゴリ10-販売した製品の加工について具体的に解説

カテゴリ11 販売した製品の使用


カテゴリ11は使用者による製品の廃棄時の処理に伴う排出量を算定する部分で、家電を販売している会社が、家電を売った後に使われるエネルギーを算定していきます。

例えば、ドライヤーを売っている会社が、ドライヤーを販売しててから廃棄されるまでにどれくらいエネルギーを使用しているかを算定していきます。

この項目に関しても、各々で製品の使い方も違うので把握するのが非常に難しいのが想像できると思います。

多くの場合は、

〇〇という製品は、毎日使われていて、1日に〇〇kwhの電気を消費する、1年だと〇〇kwhの電気消費量になる。耐用年数は平均で8年なので、〇〇kwh×8年=その商品の生涯電気使用量になるという形でシナリオを設定して算定を行なうことが多いです。

扱い製品が多い企業の場合は、メイン製品分の算定から始めるという形で可視化を始められる企業も多いです。

▼参考:Scope3カテゴリ11-販売した製品の使用について具体的に解説

カテゴリ12 販売した製品の破棄


カテゴリ12は、使用者による製品の廃棄時の処理に伴う排出です。
販売した重量を元に算定するケースが多く、月に1,000kg販売していた場合、1,000kgが最終的にはどのように廃棄されるかを想定して算出しています。算定方法はカテゴリ5の事業から出る廃棄物と同じ方法で行います。

リサイクルの仕組みが整っている製品ですと分かりやすいですが、一部は焼却、一部はリサイクルなど比率を把握していないケースはシナリオ作成が非常に難しいです。

算定の前に製品の廃棄についての調査を行なってから算定を行なう企業もあります。最近は、新製品検討時は価格だけではなく最終的にリサイクル・廃棄についてはどういう形になるかまでを想定し企画を立てることが多くなっており重視されてきている項目になります。

▼参考:Scope3カテゴリ12-販売した製品の廃棄について具体的に解説

カテゴリ13 リース資産(下流)


カテゴリ13は、自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の運用に伴う排出を算定する項目です。

リースを行なっている企業以外には関係が無い項目になります。1点悩まれるケースがあるのですが、自社の製品の販売をリース契約と販売契約が混在している場合です。

上記の場合は、カテゴリー11で全てまとめて計上して良いとルール上はなっており、まとめてしまうことが多いです。

算定時は、

・リース資産ごとにエネルギー種別の消費量が把握できる場合

・リース資産ごとのエネルギー消費量は把握できるが、エネルギー種別の消費割合が不明の場合

・リース資産ごとのエネルギー消費量が把握できない場合

の3パターンに分かれ、3番目のエネルギー消費量が分からないケースが一番多いのですが、そういった場合は使用している部分の面積を把握し算定していきます。

例えば、建物が事務所では1年で、1m2あたり0.083tCO2という原単位があり、リースで貸している事務所の面積が100m2×0.083=8.3tCO2/m2・年という形で算定します。

▼参考:Scope3カテゴリ13-リース資産下流について具体的に解説

まとめ

Scope3の温室効果ガスの算定を検討されている方は、是非一度目を通して、どういったことを行なうかの参考にしていたければと思います。

▼出典:サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.4)

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