脱炭素とサステナビリティ教育 | 社内取り組みとその重要性

企業が脱炭素経営やサステナビリティ方面に力を入れる中、取り組みが一部で留まらないように社内教育が重要になってきますが、いざ実行するとなるとどのように行なえばよいか分からないということは多々あります。
実行できても、国内の従業員には一通り行えたが役に立っているかが見えにくい、国外のメンバーへの教育がまだ行なえていないなど課題も一定残ります。
弊社にも社内教育についてのお問い合わせ、GX研修やサステナビリティ研修の依頼が来ることがありコンテンツを作って提供していますが、一般的には、主にワークショップ、ケーススタディ、外部講師によるセミナー、eラーニングの活用などを通して教育を行っていくことが多いです。
本記事では、脱炭素、サステナビリティの社内教育について重要性や弊社での取り組みについて紹介します。


サステナビリティに関する社内教育の重要性と利点
サステナビリティ教育がもたらす文化と人材への効果
サステナビリティに関する社内教育は、企業が持続可能な成長を実現するための基盤となります。
単に知識を伝えるだけではなく、従業員一人ひとりが「自分の行動が環境や社会にどのように影響するか」を理解し、日常業務に反映できることが重要です。
例えば、製造現場での廃棄物削減やエネルギー効率改善は、企業の環境目標に直結する具体的な行動です。
教育を通じて自身の役割と企業戦略の結びつきを認識することで、社員の責任感や行動意欲が高まります。
さらに、教育は企業文化の変革を後押しします。部署を越えた対話が自然に生まれ、「持続可能性を意識することが当たり前」という文化が社内に定着します。
これにより、社員間の連携が強化され、新しいアイデアや取り組みが生まれやすい風土が整います。
特に若手世代は社会的意義のある仕事を重視する傾向が強いため、教育によってモチベーションやエンゲージメントの向上にも直結します。

戦略的投資としての教育―競争力・イノベーション・信頼の強化
サステナビリティ教育はコストではなく、企業にとっての戦略的投資です。
教育によって培われた知識と行動力は、イノベーションやリスク管理、社会的信頼の強化へとつながります。
例えば、営業部門が顧客の環境目標に沿った提案を行えば新しいビジネス機会が生まれ、開発部門が環境配慮型の素材を採用すればブランド価値の向上につながります。
こうした実践は、持続可能性を核としたビジネスモデルを構築する力となります。
また、規制や社会的要請に迅速に対応できる社員がいることで、企業はリスク管理能力を高めると同時に競争優位性を確保できます。
さらに、教育を受けた社員が地域社会や取引先と積極的に対話し、持続可能性の価値観を伝えることで企業への信頼感やブランドイメージの向上にも寄与します。
実際にTMBでは、毎年「サステナビリティ研究会」を開催し、社員が知見を深める取り組みを続けています。
改めて学ぶ時間を持つことで、自身の仕事の意義を再認識し、企業全体での持続可能性推進に弾みをつけています。
▼参考:前編|サステナビリティ社内浸透施策を公開!組織拡大と自分ゴト化を両立する研究会とは
▼参考:後編|サステナビリティ社内浸透施策を公開!組織拡大と自分ゴト化を両立する研究会とは
また、社内のゴミの分別についても力を入れて社員1人1人が分別の意識を持つことや、アースデイや国際女性デーでの取り組みでもサステナビリティを身近に感じられます。

※TBM社の分別
他にも、情報のキャッチアップについては、週に1回のサステナビリティ部からの社内へのメルマガや毎日のGoogleアラートでの記事紹介などがあります。
脱炭素経営のコンテンツ
サンプルになりますが、脱炭素経営のコンテンツと資源循環のコンテンツを一部紹介します。
資源循環のコンテンツ
サステナビリティ教育の種類について
また、ここ数年でサステナビリティ教育に対する対するサービスは増えており、選択肢が広がっています。
企業向けトレーニングとしては、以下のようなものがあります。
社員教育
・基本トレーニング:全社員向けの環境意識向上トレーニング。
・専門トレーニング:特定の部門(例えば、製造部門や物流部門)向けの具体的な環境管理トレーニング。
リーダーシッププログラム
・持続可能なビジネス戦略:経営層向けに、持続可能な経営戦略の構築方法を学ぶプログラム。
・リーダーシップトレーニング:環境問題に対するリーダーシップスキルを強化するためのトレーニング。
オンラインで受けれるものとしては、
オンラインコース
・入門コース:環境問題やサステナビリティの基礎知識を学ぶためのコース
・専門コース:特定のテーマ(例:気候変動、生物多様性、持続可能な都市計画)に焦点を当てたコース
ウェビナー
・ライブセッション:リアルタイムでの専門家とのQ&Aセッション。
・録画セッション:後で視聴可能な環境教育に関する講義。
上記のようなコンテンツが広がりを見せています。
研修・資格プログラムとしては、新規に増えつつ過去からあるものも再度脚光を浴びています。
専門資格
・環境管理資格:環境省の施策で始まった、脱炭素アドバイザー資格制度の認定資格を代表として環境に対する知識を問う資格は急速に広がりを見せています。
▼参考:脱炭素アドバイザー資格の認定制度
・エネルギー管理資格:その他、エネルギー効率化や再生可能エネルギーに関する資格取得プログラム。


認証プログラム
・グリーンビルディング認証:LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)などの建物に関する認証取得を支援するプログラム。
・カーボンフットプリント認証:企業や製品のカーボンフットプリントの評価と認証。
その他、ボランティア活動に参加することも一種の教育であると言えるかもしれません。
・植樹活動:地域の森林再生プロジェクトに参加。
・海洋保護活動:ビーチや海洋の保護活動を通じて、海洋環境の保護を推進。
効果的なサステナビリティ教育
体験と感情を重視した学びが行動を変える
効果的なサステナビリティ教育の核心は、単なる知識習得にとどまらず、学習者が主体的に行動へ移せる力を育むことにあります。
そのためには理論だけでなく、現実の課題に直接触れる「体験型学習」が不可欠です。
例えば、地域の環境保全活動に参加することで水質改善や廃棄物削減といった問題を体感でき、自分の行動が社会へ貢献していることを実感できます。
こうした経験は抽象的な概念を超え、環境や社会との結びつきを強く意識させます。
さらに、サステナビリティの課題は複雑で多面的なため、批判的思考と創造的思考のトレーニングも欠かせません。
ディスカッションやケーススタディを通じて、気候変動や政策の是非について多角的に考える場を設けることで、学習者は深い洞察力を養います。
また、学びの場には感情に訴える要素を組み込むことが有効です。
気候変動の影響を受けた人々のストーリーや自然体験型のフィールドワークは、環境保全の必要性を直感的に理解させ、共感が行動の動機付けにつながるのです。

持続可能な行動へ結びつける仕組みと世代を超えた学び
サステナビリティ教育を真に効果的なものにするには、学びを日常生活や職場の実践へと結びつけることが重要です。
家庭での省エネやリサイクルの実践、職場でのサステナブルなプロジェクト提案といった行動は、学習者が知識を持続的な習慣や社会的貢献へ転換するきっかけになります。
さらに、多世代間での学びは教育の質を一層高めます。若い世代と高齢者が協力してエネルギー効率改善プロジェクトに取り組めば、若者は過去の知恵を学び、高齢者は新しい技術や視点を得ることができます。
このような世代間交流は、共通の目標に向けた協力体制を強化し、社会全体に持続可能性の意識を広める効果を持ちます。
また、教育プログラムの成果を定期的に評価し改善する仕組みも欠かせません。
アンケートやインタビューを通じて参加者の行動変容を確認し、そのフィードバックを次回のプログラムに反映させることで、教育の質は継続的に向上します。
総じて、効果的なサステナビリティ教育は、実践・感情・批判的思考・多世代交流・継続改善という多角的な要素を統合することが求められます。
こうした教育は学習者の意識を変えるだけでなく、行動を通じて社会全体を変革する原動力となるのです。
まとめ
サステナビリティに関する社内教育は、企業の持続可能な成長を支える戦略的投資です。単なる知識伝達にとどまらず、従業員が「自分の行動が環境や社会にどう影響するか」を理解し、日常業務へと反映できる点に大きな価値があります。
体験型学習や感情に訴えるプログラムは、責任感と行動意欲を高め、組織文化の変革を後押しします。
さらに、教育を通じて培われた知見はイノベーション創出やリスク管理能力の強化につながり、企業競争力を高めます。
また、世代を超えた協働や継続的な評価改善により、学びは社会全体への変革力を持つものとなります。
サステナビリティ教育を推進することは、社員の成長と企業価値の向上、そして持続可能な未来の実現に直結するのです。
関連記事


