脱炭素とサステナビリティ教育 | 社内取り組みとその重要性

企業が脱炭素経営やサステナビリティ方面に力を入れる中、取り組みが一部で留まらないように社内教育が重要になってきますが、いざ実行するとなるとどのように行なえばよいか分からないということは多々あります。

実行できても、国内の従業員には一通り行えたが役に立っているかが見えにくい、国外のメンバーへの教育がまだ行なえていないなど課題も一定残ります。

弊社にも社内教育についてのお問い合わせ、GX研修やサステナビリティ研修の依頼が来ることがありコンテンツを作って提供していますが、一般的には、主にワークショップ、ケーススタディ、外部講師によるセミナー、eラーニングの活用などを通して教育を行っていくことが多いです。

▼参考:【成功事例付き】サステナビリティ研修の選び方、導入のポイント、効果を徹底解説!

▼参考:サステナビリティ研修の成功事例|企業向け7つのワークショッププログラム

本記事では、脱炭素、サステナビリティの社内教育について重要性や弊社での取り組みについて紹介します。

サステナビリティに関する社内教育の重要性と利点

サステナビリティの社内教育は、企業が持続可能な未来を築くための基盤を整える極めて重要な取り組みです。
教育では、従業員が持続可能性の概念を理解するだけでなく、それを日々の業務や意思決定に反映できる力を養います。
また、企業全体が環境や社会的課題への対応を戦略的に進めるための文化を育てる手段でもあります。

サステナビリティ教育を通じて、従業員は自身の役割と企業全体の目標がどのように結びついているかを理解できます。
多くの社員にとって、環境問題や社会課題は日々の業務からかけ離れているように感じられることが少なくありません。

しかし、教育を通じて、自分の行動が持続可能性に直接影響を与えることを知ると、業務に対する姿勢が変わります。
例えば、製造業の現場では、廃棄物削減やエネルギー効率の向上が企業の環境目標に貢献する具体的な方法として示されることがあります。
このように、社員が自身の行動と企業の持続可能性戦略を結びつけることができると、責任感と行動意欲が高まります。

さらに、サステナビリティ教育は、企業文化そのものを変える力を持っています。
教育を通じて、従業員は持続可能性について考える機会を共有し、他の部門やチームとの対話が自然と生まれます。
このような対話が重なることで、企業全体に「サステナビリティを意識した行動を取ることが当たり前」という文化が浸透します。

また、こうした文化の変化は、部門間の壁を取り払い、企業全体での協力や統一感を強化する効果もあります。
社員が持続可能性を企業活動の中心と捉えるようになることで、革新的なアイデアや取り組みが生まれやすい環境が整います。

社員のモチベーションやエンゲージメントの向上も、サステナビリティ教育の重要な成果です。
特に若い世代の社員は、自分の仕事が社会や環境にどのような影響を与えるかを意識する傾向が強くあります。
教育を通じて、自分の業務が持続可能な未来に貢献していると感じることができれば、仕事への満足感が高まります。

例えば、エネルギー効率を改善するプロジェクトや地域社会への貢献活動に参加することで、仕事が単なる業務ではなく社会的意義を持つものとして再認識されます。
このような実感は、社員の離職率を下げ、企業全体の士気を高める効果をもたらします。

また、サステナビリティ教育は、企業のイノベーションを加速させる可能性を秘めています。従業員が持続可能性を意識して問題解決に取り組むようになると、従来の方法にとらわれない新しいアプローチやアイデアが生まれるようになります。

例えば、営業部門の社員が顧客の環境目標に沿った提案を行うことで、新しい取引の機会を開拓できるかもしれません。
また、製品開発チームが環境に配慮した素材を採用することで、企業のブランド価値が向上する可能性もあります。このような革新は、持続可能性を核としたビジネスモデルの構築につながります。

さらに、サステナビリティ教育は、企業のリスク管理能力を強化します。環境規制や社会的圧力が強まる中、従業員がサステナビリティの視点から迅速に対応策を考えられることは、企業にとって大きな利点です。

例えば、CO2排出量の削減目標を達成するための具体的な手法を学んだ社員がいることで、規制への適応が迅速に進むだけでなく、他社に先んじて持続可能性を実現する競争優位性が生まれます。
こうした能力は、長期的な視野で企業の持続可能性を確保する上で欠かせません。

地域社会や顧客との関係強化も、サステナビリティ教育の重要な側面です。
教育を受けた従業員が、企業の持続可能性目標を共有し、地域社会や取引先との対話を通じて価値観を伝える役割を果たすことが期待されます。

例えば、社員が地域の環境プロジェクトに参加し、地域社会と協力して課題を解決することは、企業への信頼感を高めるだけでなく、ブランドイメージの向上にも寄与します。
また、顧客に対して持続可能性に基づく製品やサービスを提案することで、新たな市場やビジネスチャンスを生み出すことも可能です。

サステナビリティ教育を実施することは、企業にとって単なるコストではなく、戦略的な投資です。
教育を通じて、社員は持続可能性を業務の中核に据えるスキルと意識を持つようになり、企業全体が持続可能な成長に向けた基盤を構築できます。

また、教育を通じて生まれる行動や文化の変化は、企業の競争力、社会的信頼、リスク管理能力を高め、長期的な成功をもたらします。
持続可能性を推進する社員が増えることで、企業の未来はより強固なものとなるでしょう。

TMBでは、毎年、サステナビリティ研究会を実施し、サステナビリティをアタリマエにする、社員が深い知見を常に持つことをテーマに様々な取り組みがなされています。
元々、サステナビリティ領域に関心が高い層が社員には多いですが、改めて考える時間やインプットする時間を持つことで自信の仕事の意義を再認識することもあります。

▼参考:前編|サステナビリティ社内浸透施策を公開!組織拡大と自分ゴト化を両立する研究会とは

▼参考:後編|サステナビリティ社内浸透施策を公開!組織拡大と自分ゴト化を両立する研究会とは

また、社内のゴミの分別についても力を入れて社員1人1人が分別の意識を持つことや、アースデイ国際女性デーでの取り組みでもサステナビリティを身近に感じられます。

※TBM社の分別

他にも、情報のキャッチアップについては、週に1回のサステナビリティ部からの社内へのメルマガや毎日のGoogleアラートでの記事紹介などがあります。

脱炭素経営のコンテンツ

サンプルになりますが、脱炭素経営のコンテンツと資源循環のコンテンツを一部紹介します。

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資源循環のコンテンツ

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サステナビリティ教育の種類について

また、ここ数年でサステナビリティ教育に対する対するサービスは増えており、選択肢が広がっています。
企業向けトレーニングとしては、以下のようなものがあります。

社員教育

・基本トレーニング:全社員向けの環境意識向上トレーニング。

・専門トレーニング:特定の部門(例えば、製造部門や物流部門)向けの具体的な環境管理トレーニング。

リーダーシッププログラム

・持続可能なビジネス戦略:経営層向けに、持続可能な経営戦略の構築方法を学ぶプログラム。

・リーダーシップトレーニング:環境問題に対するリーダーシップスキルを強化するためのトレーニング。

オンラインで受けれるものとしては、

オンラインコース

・入門コース:環境問題やサステナビリティの基礎知識を学ぶためのコース

・専門コース:特定のテーマ(例:気候変動、生物多様性、持続可能な都市計画)に焦点を当てたコース

ウェビナー

・ライブセッション:リアルタイムでの専門家とのQ&Aセッション。

・録画セッション:後で視聴可能な環境教育に関する講義。

上記のようなコンテンツが広がりを見せています。

研修・資格プログラムとしては、新規に増えつつ過去からあるものも再度脚光を浴びています。

専門資格

・環境管理資格:環境省の施策で始まった、脱炭素アドバイザー資格制度の認定資格を代表として環境に対する知識を問う資格は急速に広がりを見せています。

▼参考:脱炭素アドバイザー資格の認定制度

・エネルギー管理資格:その他、エネルギー効率化や再生可能エネルギーに関する資格取得プログラム。

▼参考:環境省が資格の認定を行う脱炭素アドバイザー資格制度認定事業について

▼参考:GX検定アドバンストについて

認証プログラム

・グリーンビルディング認証:LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)などの建物に関する認証取得を支援するプログラム。

・カーボンフットプリント認証:企業や製品のカーボンフットプリントの評価と認証。

その他、ボランティア活動に参加することも一種の教育であると言えるかもしれません。

・植樹活動:地域の森林再生プロジェクトに参加。

・海洋保護活動:ビーチや海洋の保護活動を通じて、海洋環境の保護を推進。

目次

効果的なサステナビリティ教育

効果的なサステナビリティ教育は、単なる知識の伝達にとどまらず、学ぶ人々が環境問題や社会的課題に対して主体的に関与し、行動を起こせる力を育むことを目指します。

これを達成するには、理論と実践を結びつけ、感情的なつながりを生み出し、多世代間での対話を促進する包括的なアプローチが必要です。以下では、その詳細をさらに深く掘り下げます。

まず、サステナビリティ教育の中心には、学習者が現実の課題に直接触れられる「体験型学習」があります。たとえば、地域の環境保全活動に参加することで、水質改善や廃棄物削減などの具体的な課題を体感することができます。

このような実践を通じて、環境問題が日常生活にどのように影響を与えるかを実感し、自分の行動が社会に貢献できることを認識できます。この体験は、学習者が抽象的な理論を超えて、環境や社会との結びつきを実感する貴重な機会となります。

さらに、複雑な問題に対応する力を育むため、批判的思考と創造的思考のトレーニングが重要です。サステナビリティの課題は、多様な利害関係や複雑な相互作用を含むため、表面的な解決策では不十分です。そこで、ディスカッションやシナリオ分析、ケーススタディを取り入れた学びが効果的です。

たとえば、気候変動が地域経済に与える影響を分析したり、政策の是非について討論する場を設けることで、学習者はさまざまな視点を理解し、より深い洞察を得ることができます。このプロセスは、単に解決策を見つけるだけでなく、問題の構造や背景を批判的に検討する能力を育成します。

また、感情に訴える学びの重要性も見逃せません。環境や社会の問題に共感することは、行動につながる強い動機付けになります。そのため、教育プログラムには感情的な要素を組み込むことが必要です。

気候変動で影響を受けた人々のストーリーを映像や写真で紹介することで、問題の緊急性を直感的に理解させることができます。
また、自然との触れ合いを重視したフィールドワークも効果的です。森や海での体験を通じて、自然の美しさや複雑さを直接感じることで、環境保全への意識が深まります。

さらに、日常生活や職場での実践に結びつけることが、学びを持続可能な行動へと変える鍵です。
家庭での省エネ対策やリサイクルの実践方法を学び、職場でサステナブルなプロジェクトを提案するスキルを身につけることは、学習者が具体的な行動を起こすきっかけとなります。

また、学びが個人の枠を超えて社会全体の動きに結びつくことを理解することで、より大きな変化を生み出す力を実感できます。
こうした実践型の教育は、参加者の自信を高め、継続的な行動変容を促します。

サステナビリティ教育は、多世代間の学びを通じてさらに深まります。
異なる世代が協力し、経験や価値観を共有することで、学びの質が高まります。
若い世代が高齢者と共同でエネルギー効率改善プロジェクトに取り組むことで、若者は過去の知恵や経験を学び、高齢者は現代の技術や新しい視点を知る機会を得ます。

このような多世代間の学びは、持続可能な社会を築くための協力関係を強化し、異なる世代が共通の目標を持つきっかけを提供します。

最後に、教育プログラムの効果を測定し、継続的に改善する仕組みを取り入れることが重要です。学習者がどのように知識を行動に結びつけたかを評価し、それに基づいてプログラムを改善することで、教育の質を向上させられます。
例えば、学びの成果をアンケートやインタビューで確認し、改善点を特定して次回のプログラムに反映する取り組みは、教育内容をより効果的に進化させる手法として有効です。

総じて、効果的なサステナビリティ教育は、実践的な学び、批判的思考の育成、感情的なつながりの創出、日常生活への応用、多世代間の交流、そして継続的な評価と改善という多角的な要素を統合する必要があります。

このような教育は、学ぶ人々の意識を変えるだけでなく、行動を通じて社会全体を変革する力を育むものです。サステナビリティ教育の充実は、持続可能な未来を築くための最も重要な基盤の一つといえるでしょう。

まとめ

サステナビリティの教育は現在、幅広い層に対してサステナビリティの重要性を伝え、実際の行動につなげることが目指されています。
各プログラムは、教育機関、企業、地域社会、オンラインプラットフォームなど、さまざまな場で実施されています。

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