【2025年版】温室効果ガス(GHG)算定サービス徹底比較!費用相場と失敗しない選び方の秘訣

温室効果ガスの算定(可視化)サービスを運営している中で、サービスサイトや資料ダウンロード、ウェビナーなどを通して数多くの問い合わせをいただきます。
温室効果ガスの算定は、情報があふれており事前にサービス選定のためのインプットをするにも限界がある中で、企業単位の温室効果ガス算定や製品単位の温室効果ガス算定の違いや、目的によってツールを提供しているサービスが良いのか、コンサルティングを受けた方が良いのかなど混乱されている場合もあります。
本記事では、サービス選定を行われている方へ向けて、温室効果ガス可視化サービスを選ぶ視点とサービスを導入するにあたっての目的について詳しく解説していきます。

※事前にこちらの記事をインプットしていただくことを推奨します。
▶参考:CO2算定の重要性と手法 | 企業が温室効果ガス排出量を算定する理由
温室効果ガス、企業単位の算定と製品単位の算定の違い
企業単位の温室効果ガス算定と製品単位の算定のどちらかに取り組むかを悩まれるお客様は非常に多いです。
企業単位の算定をやりたい場合の目的としては、主に4つほどに分けられます。
①取引先から算定結果の提出を求められる
②TCFDなど環境情報開示を行うにあたって、定量的な目標を作成するため、また現状を把握するために行なう
③可視化を行い温室効果ガスを排出している部分を特定し削減を行なうことで環境に対して対策を行い外部へ伝えていく(アピールしていく)
④SBT申請など、イニシアチブを取得するにあたって算定結果が必要な場合
▼中小企業もできる!企業の脱炭素目標「SBT認定」のメリットと取得法
上記の目的から、どこまで詳しく算定するのか、社内リソースとのお見合いで外部のリソース(算定代行、入力代行)を必要とするのか、社内にノウハウを残していきたいかなどによって選定するサービス会社が変わってきます。
一方、製品単位ですと、以下の4つが目的になることが多いです。
①取引先から製品単位の温室効果ガス排出量を求められる場合
②低炭素で製造できる製品として自社商品を訴求したい
▼カーボンフットプリント表示商品 | 持続可能な選択肢を紹介
③各種認証を取るための算定を行い、認証マークによる自社商品の訴求を行ないたい
④製品単位で製造のプロセスで温室効果ガスが多く出ているかを把握し削減したい
企業単位の温室効果ガスの可視化と同じで、目的により算定の強度、どこまで外部に任せるのかの検討具合やサービス価格も変わってきますし、問い合わせをした企業が上記のようなサービスを行っていないみたいなこともあります。
また、思っているよりも予算がかかり費用対効果が合わないみたいなことも散見されます。
▼おすすめのお役立ち資料

企業単位の可視化サービスを選ぶ視点と目的
Scope1,2のみで良いのかScope3の算定まで必要なのかを事前に確認します。
一般的に、取引先から提出を求められたり、SBT申請(中小企業版)のための算定の時は、Scope1,2のみの算定になる場合が多いです。
Scope1,2の算定ケース
第一に自社で取り組むのか、外部のサポートを貰うのかを検討します。
自社で取り組む場合は、環境省のサイトや排出量算定についてまとめているサイトなどから自学自習で算定します。
Scope1,2の算定はそこまで難しくないので十分に自社で算出することは可能です。
第二に外部のサポートを得る場合は、算定ツールのベンダー、環境コンサルを頼るなどの選択肢があります。
ベンダーは、算定ツール比較サイトなどで探したりする中で、費用感、必要な機能、サポートをどの程度行ってもらえるか(代行があるかどうか)の視点で見ていくと良いでしょう。
サポートの手厚さでは、ナレッジを自社に取り込めるレベルでサポートしてもらえるかも重要になってきます。
費用感は
・ツールのみの利用で、年間数万〜10万くらいまでです。
・ツール込みのサポートありで、年間数万〜30万くらいです。
コンサルに頼む場合は、拠点数が多い、業態により算定のデータが取りにくい、マニュアルも作ってほしい、Scope1,2以降の取り組みも相談したいなど多種多様なニーズがある場合に適しています。
費用感は、
ぐっと高くなり50万以上〜数百万かかるケースが多いです。

▼出典:知っておきたいサステナビリティの基礎用語~サプライチェーンの排出量のものさし「スコープ1・2・3」とは
Scope3の算定まで行なう場合
こちらも自社のみで取り組むか、外部のサポートを得ながら算定を行う場合がありますが、新しく取り組む企業ですと外部のサポートを得ながら進められるケースが多くなっています。
- ツールのみ使うパターン
こちらは、自社である程度取り組んできた実績がある企業が多いです。
算定ツールは係数の更新やデータを集める面で工数が削減できますので、自社でやるよりは費用効果や算定ミスのリスクを減らせます。
費用感は、年間数十万~百万円台
・ツールを使いつつサポートももらうパターン
初めて算定に取り組む企業で専任担当者をおける企業や今からノウハウを自社に構築してきたい企業はこちらを選ばれるケースが多いです。
サポートの受け方も様々で、
- 簡単な質疑応答に応えてもらいたいパターン(費用感:年間数十万~百万円弱)
- 伴走をお願いしたいパターン(費用感:50万~年間百万弱)
- 算定代行など丸投げを行いたいパターン(費用感:年間百万円前半~後半)
- コンサルを受けるパターン
アウトプットが結果のみという簡易なものから、ノウハウを落とし込んでくれる、マニュアルを作ってくれる、算定のルール作り、シナリオ作りも任せられる、環境情報開示全般をお願いする。
上記のようにコンサルティング会社ですと様々なオプションを持っているケースが多いです。
単価も自ずと高くなることから、信頼関係構築のミーティングに始まり、自社に合ったサポートをディスカッションで見つけていくプロセスもあり検討期間が長くなるケースが多いです。
また、自走してもらえるようにサポートすることがポリシーのコンサルティングもありますし、数年に渡って長くサポートをすることを重視されているコンサルティングもあります。
費用感も、様々ですが100万〜数百万のケースが多いです。

▼出典:知っておきたいサステナビリティの基礎用語~サプライチェーンの排出量のものさし「スコープ1・2・3」とは
温室効果ガス算定ツールの比較に役立つサイト5選
1. 【ITreview】ユーザー評価とレビューが集まる国内最大級のB2Bプラットフォーム
- URL:https://www.itreview.jp/categories/co2-emission-management-system
- 強み:実際の導入企業によるレビューが掲載されており、現場の声に基づく評価が得られる点が最大の特徴。
- 信頼性の根拠:各レビューは企業ユーザーにより投稿され、ベンダー側の情報だけに依存しない。
- 活用ポイント:SaaSの使い勝手やサポート品質を確認したい企業におすすめ。
2. 【ASPIC(アスピック)】SaaS・クラウドサービスの第三者認証機関が運営
- URL:https://www.aspicjapan.org/asu/article/17969
- 強み:非営利法人であるASPICが提供しており、中立的かつ信頼性の高い立場から選定されたサービス群が掲載。
- 専門性の裏付け:IT導入補助金や官公庁との連携実績もあり、公的認証に近い視点でツール選びが可能。
- 活用ポイント:信頼性重視で比較したい企業、公的支援との親和性を確認したい担当者に最適。
3. 【デジタル化の窓口】中小企業のDX支援に特化した情報サイト
- URL:https://digi-mado.jp/category/business/co2-emissions-management-system/
- 強み:中小企業向けにツール選定や導入のコツを丁寧に解説しており、専門知識がなくても比較できる構成。
- 経験の表れ:導入フローやメリット・デメリットも明記され、実務に即した判断がしやすい内容となっている。
- 活用ポイント:初めて脱炭素ツールを導入する企業、DXと環境対策を同時に進めたい層におすすめ。
4. 【キャククル(全研本社)】マーケティング視点からの戦略的ツール比較
- URL:https://www.shopowner-support.net/attracting_customers/energie/co2-discharge-management/
- 強み:ツール導入=企業のブランド戦略の一環として位置付け、営業的な成果に直結する切り口で解説。
- 権威性の根拠:多数の業界別マーケティング支援実績を持つ全研本社が運営し、企業の集客・広報面まで意識した視点が特徴。
- 活用ポイント:ブランディングやESG投資を意識した企業に向いており、広報活動との相乗効果も狙える。
5. 【Boxil(ボクシルマガジン)】編集部による信頼性の高い比較記事が魅力
- URL:https://boxil.jp/mag/a7942/
- 強み:編集部による客観的な比較表や導入メリットの整理が秀逸で、網羅的に情報収集したい人向け。
- 信頼性の補強点:日本最大級のSaaS比較ポータル「Boxil」本体と連動し、常に最新情報にアップデートされる構成。
- 活用ポイント:複数ツールを短時間で比較・整理したい担当者や、導入レポートを参考にしたい方に最適。
用途と立場に応じて最適な比較サイトを選びましょう
比較サイト | 特徴 | こんな人におすすめ |
---|---|---|
ITreview | 実ユーザーの評価多数 | 現場の評価を重視したい |
ASPIC | 公的性格が強い | 信頼性・補助金対応を見たい |
デジタル化の窓口 | 初心者向けに丁寧 | 中小企業や初導入企業 |
キャククル | 戦略・広報視点 | ESG経営や広報部門 |
Boxil | 網羅的・編集部解説 | 手早く全体像を把握したい |
製品単位の可視化サービスを選ぶ視点と目的
製品単位は目的から、取り組み方法を検討していくと分かりやすいです。
製品単位の可視化で、費用が比較的安価な順番で紹介していきます。
製品単位で製造のプロセスで温室効果ガスが多く出ているかを把握し削減したいパターン
会社内部で温室効果ガス削減のための一手として算定を行うケースで、温室効果ガスが排出されている部分の特定を行なうためや、外部にデータを出さない場合は、
そこまで精密なデータが必要でない場合が多く、1次データを取る時間や費用を考えると、IDEAや産業連関表などの2次データ活用の割合が高い算定でも十分です。
コンサルや製品単位の温室効果ガス可視化サービスを行っている算定ベンダーがサービスを提供しています。
費用感は、数十万〜100万弱というところです。
低炭素で製造できる製品として自社商品を訴求したいパターン
こちらは、認証などは取らないまでも、お客様へ低炭素商品として商談時に提示する場合がほとんどになるのと、自社の特性を出していくことが重要ですので、
製造ライン毎の電力量を詳細に測るなど特に自社の努力が出ている部分の1次データを中心に集めることが重要となってきます。
1次データを集めるためには、現地調査や計測機器などを導入する必要が出てくる場合などもあり、その分費用と算定期間がかかります。
こちらも、コンサルや製品単位の温室効果ガス可視化サービスを行っている算定ベンダーがサービスを提供しています。
費用感は、数十万〜100万超です。製造工程が複雑な場合や関わるサプライヤーの多さなどで難易度は変わるため、千差万別の見積りが出るケースも珍しくありません。
各種認証を取るための算定を行い、認証マークによる自社商品の訴求を行ないたい
各種認証を取るためには、勿論認証の要件を満たすことが必要になってきますので、上記2パータンと比べても複雑になってきますし、データも詳細に求められるケースが多いので自ずと工数も算定費用も掛かってくるケースが多いです。
こちらは、自社でやるよりもコンサルや専門の機関に任せるケースが非常に多いかと思います。算定から認証を取るまでがセットになっているプランなどもあります。
費用感はどうしても100万〜という形が多いようです。
製品単位の温室効果ガスの可視化は、製品のアピール名目ですとマーケティング費用に当たる部分でやるケースも多くなります。その場合の費用対効果を計るのが難しく数万だと思っていたのが数十万かかるなら厳しいという判断がされるケースも多いです。
まとめ
温室効果ガスの算定をやってみようという方に、様々な目的と視点があることを上記で開設しましたが、上記の内容を把握することにより少しは自社でやりたいことがクリアーになれば幸いです。
算定ありきの記事ではありますが、他のニーズとしては、まずは企業全体にサスティナビリティ意識を浸透させることが重要でサステナビリティ研修から入られる場合もあったり、サステナビリティ委員会の設置により社内の巻き込みから入るケースもあるなど、脱炭素経営のニーズは千差万別です。
ですが、すぐに参照できるサステナビリティの情報は増えており、サステナビリティ事業を行う企業も増えていますので、自社で行ないたいことをしっかり把握できればベストな手段、パートナーを見つけられるのではないかと思います。
▼おすすめのお役立ち資料
