経営戦略に活かす！脱炭素のための正しい情報収集と活用のポイント
脱炭素経営は、企業の持続可能性や競争力を高めるうえで不可欠な戦略となっています。
しかし、近年の情報量の急増により、どの情報を収集し、どのように活用すればよいのか迷うケースも少なくありません。
本記事では、脱炭素経営を進めるうえで必須となる「社会動向」「政策」「消費者意識」「他社の取り組み」の4つの視点から情報を整理する方法を解説します。
また、信頼性の高い情報を得るために活用できるオンラインリソース、政府・国際機関のレポート、業界団体の発表、企業のサステナビリティレポート、専門家の助言、セミナー・ウェビナーなど、7つの情報収集手法を紹介します。
急な脱炭素経営の推進を求められた方や、戦略を強化したいと考える担当者の方にとって、実践的な情報源となるはずです。
正確で最新の情報を適切に活用し、自社の脱炭素経営を効果的に進めていきましょう。脱炭素経営に必要な情報収集のポイント
目次
脱炭素経営に必要な情報収集のポイント
近年、脱炭素経営に関する情報は急速に増え、その取捨選択が重要になっています。
企業として適切な戦略を立てるためには、信頼性の高い情報を継続的に収集し、適切に活用することが求められます。
まずは、以下の4つの観点から情報を整理するとよいでしょう。
1. 世の中の動向を把握する
脱炭素経営がなぜ必要なのか、社会全体でどのように受け止められているのかを理解することが重要です。
気候変動に関する科学的知見や国際的な動き、脱炭素に関する企業の評価指標など、日々更新される情報を追い続ける必要があります。
また、各種ニュースメディアや専門機関のレポート、気候変動関連のカンファレンスなどを活用し、グローバルな視点で最新のトレンドをキャッチすることが推奨されます。
▼参考：脱炭素経営を始めるにあたっての方針検討
2. 国や地方自治体の政策を把握する
政府や自治体が推進する脱炭素政策や補助金・支援制度を活用することで、企業の取り組みを加速させることが可能です。
例えば、経済産業省が推進するGX（グリーントランスフォーメーション）リーグは、企業の脱炭素化を支援する新たな枠組みとして注目されています。
また、地方自治体レベルでも脱炭素化を推進する施策が進んでおり、支援を受けられる相談窓口の開設が増えています。
企業が自治体と連携することで、地域に根ざした持続可能なビジネスモデルの構築も可能になります。
▼参考：GXリーグ公式サイト
3. 消費者の意識の変化を捉える
脱炭素に対する消費者の関心は高まっており、その動向を把握することは企業の競争力向上につながります。
市場調査レポートやアンケート結果を活用し、消費者が求める脱炭素型の商品・サービスを分析しましょう。
例えば、カーボンフットプリントの表示がある製品が支持を得ているケースもあり、こうしたデータをもとに自社の強みをどのように打ち出すべきかを考えることが重要です。
▼参考：カーボンフットプリント（CFP）とは？CFP表示商品 | 持続可能な選択肢を紹介
4. 他社の取り組みを参考にする
同業他社がどのような脱炭素戦略を実施しているのかを調査し、自社の施策に活かしましょう。
特に、先進的な企業の成功事例を分析することで、自社にとって実行可能な取り組みのヒントを得ることができます。
企業のサステナビリティレポートや業界団体の発表資料、ESG投資家向けのレポートなどを活用すると、より具体的な情報を得られます。
▼参考：サステナビリティレポートとは？│作成方法と重要性を自社の取り組みを交えて説明
▼出典：環境省 脱炭素経営対話ツール集
脱炭素経営に必要な情報収集の方法7選
脱炭素経営を成功させるには、常に最新の情報を収集し、戦略に活かしていくことが不可欠です。
しかし、膨大な情報の中から何をどう集めればよいのか、迷うこともあるでしょう。
ここでは、信頼性が高く実践的な情報を得るための7つの方法をご紹介します。
1. オンラインリソースを活用する
インターネット上には、脱炭素経営に関する最新情報が豊富にあります。
政府機関、国際機関、研究機関、NGO、企業の専門メディアなどが発信するコンテンツを活用することで、効率的に情報収集が可能です。
例えば、「脱炭素経営に強い企業」や「〇〇（業界名） サステナビリティ」といったキーワードで検索すると、具体的な企業事例や最新トレンドが見つかることが多いです。
脱炭素関連のサービスを提供する企業が運営するメディアも、業界動向を分かりやすくまとめているため、一度気に入った記事があれば、他の記事もチェックしてみるとよいでしょう。
▼参考：ScopeXお役立ち資料集
2. 政府・国際機関のレポートを活用する
政府機関や国際機関が発行するレポートには、脱炭素経営に関する最新の政策動向や科学的知見が網羅されています。
例えば、環境省、経済産業省、国際エネルギー機関（IEA）、気候変動枠組条約（UNFCCC）、IPCC（気候変動に関する政府間パネル）などが公開する資料は、脱炭素経営の基盤を理解するうえで貴重な情報源です。
政府機関のウェブサイトは情報量が多く、探すのに時間がかかることがありますが、IPCCの公式ページなどは特に有用です。
気候変動の現状や将来予測を知ることで、企業の脱炭素戦略をより科学的な根拠に基づいて構築できます。
▼参考：IPCC（気候変動に関する政府間パネル）の役割と活動とは？
3. 業界団体や専門機関の情報をチェックする
業界ごとに設立されている業界団体や専門機関の情報も重要な情報源となります。
業界標準や最新の動向を把握できるほか、セミナーやカンファレンスを通じて、具体的なベストプラクティスを学ぶことができます。
たとえば、日本気候リーダーズ・パートナーシップ（JCLP）などの団体では、業界横断的な取り組みや専門家による分析が発表されています。
こうした情報は、業界全体の方向性を見極める際に役立ちます。
▼参考：
4. 学術論文や研究報告を活用する
脱炭素経営に関する科学的な知見を深めるには、学術論文や研究機関の報告書が有効です。
環境経営、排出量削減技術、再生可能エネルギーなど、専門的なアプローチで分析されたデータは、企業戦略の裏付けとして活用できます。
Google Scholar、大学の研究機関、科学雑誌などを活用し、必要な論文やレポートを探すとよいでしょう。
5. 企業のサステナビリティレポートを分析する
競合他社や業界のリーダー企業がどのような脱炭素戦略をとっているのかを知るために、サステナビリティレポートやCSR報告書をチェックするのも有効です。
これらのレポートには、脱炭素目標・削減実績・今後の取り組みなどが詳細に記載されており、自社の戦略を立てる際の参考になります。
試しに1社のレポートをダウンロードしてみると、脱炭素経営の全体像がつかみやすくなるでしょう。
6. コンサルタントや専門家の助言を得る
サステナビリティ分野の専門家やコンサルタントに相談することで、最新のトレンドやベストプラクティスについて具体的なアドバイスを得られます。
例えば、「〇〇コンサル 脱炭素経営」「サステナビリティ戦略 コンサルティング」などのキーワードで検索すると、業界のプロフェッショナルが提供するレポートや事例が見つかります。
また、Amazonなどで「脱炭素経営の書籍」を検索すると、実践的な知識を得られる本も多数あります。
7. ウェビナーやセミナーに参加する
ウェビナーやセミナーに参加すると、脱炭素経営の最新トレンドを学ぶとともに、業界の専門家や同業者とネットワーキングする機会が得られます。
特に、実際の事例を基にしたパネルディスカッションやQ&Aセッションは、実務に役立つ知識を得るのに最適です。
セミナー情報をネットで探す際には、過去のイベント情報がヒットしやすいため、「脱炭素 ウェビナー 2024」「カーボンニュートラル セミナー 参加」などのキーワードを使うと最新の情報にたどり着きやすくなります。
また、「脱炭素 ウェビナー YouTube」と検索すると、無料で視聴できる過去の講演が見つかることもあります。
▼参考：ScopeXセミナー情報
まとめ
突然、社長や上司から脱炭素経営について推進して欲しいと依頼を受けて慌てて動かれている担当者の方にお会いする機会も増えています。
上記の方法で自分に合った方法を選び情報収集を行い、脱炭素経営の理解を深め、具体的な戦略を策定することを一歩目として進めてみてはいかがでしょうか。
