CO2排出量削減目標の設定、そして削減施策のご紹介

気候変動対策が企業経営に不可欠となる中、CO2排出量の削減目標設定は単なるCSRの一環ではなく、競争力や信頼性を左右する戦略的な課題となっています。

すでにCO2排出量の可視化を終えた企業にとって次のステップは、科学的根拠を持つ数値目標を掲げ、効果的な削減施策を実行することです。
売上高や生産量あたりの排出量を基準にする方法は、事業拡大による排出増加の実態を正しく評価でき、改善効果を反映しやすい点で有効です。

また、SBTiが提示する年率4.2%削減の標準化目標を採用すれば、複雑な分析なしに国際基準に沿った目標を設定できます。
さらに、2030年だけでなく2035年や2040年といった中間点に数値を置くことで、進捗管理が容易になり、柔軟な修正も可能になります。

大和ハウス工業のZEH/ZEB普及、古河電工のリサイクル事業、日産自動車のEV戦略、SGホールディングスのモーダルシフトなど、先進企業の事例はScope1〜3にまたがる多面的な削減策のヒントとなります。

本記事では、目標設定の考え方から具体的な施策、企業事例までをわかりやすく整理し、CO2削減に取り組む皆さまの実践に役立つ知見を提供します。

目次

CO2を削減する目標設定について


CO2排出量の削減目標設定は企業によって様々です。
個社ごとのルールを儲けている場合や、Science Based Target Initiative(通称:SBTi)が提供している科学的根拠を参考にする場合もあります。

自社独自の売上高/生産量ベースによる排出量削減目標の設定

各業界によって、CO2排出量の平均は様々です。そして多くの場合、CO2排出量が多くなるタイミングは事業が順調に伸びている時になります。
特に製造業のサプライチェーンでは注文量が増えると、製造する製品の量が増え、結果的に生産ラインの電気や蒸気、燃料の使用を増やすことになります。

その結果、どうしてもCO2排出量は増えてしまいますが、そういった場合、多くの企業が
売上、生産量単位ベースのCO2排出量を計算し公表しています。

1百万円の売上活動でどれくらいCO2が排出されているか、100kgの生産からはどれくらいCO2が排出されているかという数値を使います。この数値を使うことでオペレーションを改善した結果CO2量が下がったなどの効果も反映できます。

ビジネスの拡大によってCO2排出量が増加したように単純な数値だけだと見えてしまうところ、構成要素を分解することによって自社にふさわしい目標設定をすることができます。

自社にあった数値を活用して、CO2排出量削減の目標設定手段はおすすめです。

▼参考:脱炭素経営にてCO2可視化の後、検討するべき削減対策とは?大手企業の事例をまとめてみました

SBTiの科学的根拠に基づいた目標設定を参考にする

中小企業版SBTでは、あらかじめ用意された標準化された削減率を採用するため、独自の計算や複雑な分析を行う必要はありません。

Scope 1とScope 2については、2030年までに年率4.2%の削減を目指す目標をそのまま適用することができます。
これにより、科学的な根拠を担保しつつ、手間を最小限に抑えた目標設定が可能です。

2022年度に1,200t-CO₂e排出している企業の場合、8年継続して4.2%づつ削減していくと、2030年度には844t-CO₂eとなり、2022年度比70.3%削減する目標になります。

さらに。2050年という長期目標を達成するためには、2035年や2040年といった中間点での目標を設定することが効果的です。
これにより、進捗を段階的に確認しながら計画を柔軟に見直すことが可能になります。

例えば、「2035年までにScope 1とScope 2の排出を70%削減、Scope 3については主要サプライヤーとの連携で50%削減」など、具体的な数値目標を持つことで、行動が明確になります。

▼参考:中小企業もできる!企業の脱炭素目標「SBT認定」のメリットと取得法

▼参考:中小企業版SBT申請のお問い合わせはこちら

企業の取り組みをご紹介


目標が定まれば、次は削減施策の検討です。
自社でできるオペレーション改善から機械設備の買い替え検討、太陽光などの導入、そしてカーボンクレジット活用の順に検討していきます。

大和ハウス工業

大和ハウス工業は一軒家を中心とした建設業務のイメージがあるかと思うのですが、実は太陽光発電をはじめとした再エネ設備の開発も積極的に行っております。
また自社事業所で使用している電気は再エネ中心です。

ですが実は大和ハウス工業におけるScope1,2の排出量は全体における3%のみです。
残りの97%は建物の使用によるCO2排出量(Scope3カテゴリ11)が50%、原材料の調達が(Scope3カテゴリ1)が25%、廃棄物が(Scope3カテゴリ5,12)が25%を占めております。

そこで大和ハウス工業ではエネルギーを家で作り、エネルギー使用量をすくなるする「ゼロエミッションハウス(ZEH)」の住宅建築に力を入れており、さらには「ゼロエミッションビルディング(ZEB)]の普及も積極的に取り組んで行っております。
ですが新築の物件だけでなく、大和ハウス工業の計画には既存建物もZEHやZEBに近づけていく展開を策定していると発表されております。

▼参考:大和ハウス工業「大和ハウスグループ サステナビリティレポート2023

古河電気工業

古河電気工業は沿革を辿っても古くから水力発電を使うなど再エネ活用の歴史が長い企業です。そして同社は1988年からすでに取り扱っている重要製品である銅のリサイクル事業を始めております。

古河電気工業は2030年までに2021年度比42%以上の削減、Scope3に関しては25%以上の削減を目標として掲げております。その目標を達成するために同社では原材料のリサイクル事業を即していく方針を掲げております。

▼参考:古河電気工業「ESG 説明会 ビジョン 2030達成に向けたESGに関する取り組み

日産自動車

世界で初めて量産型の電気自動車を作ったのが日産自動車です。
そして電気自動車の市場拡大を続けてきた同社は最高サステナブル責任者を設置するほどサステナビリティを重要戦略として捉えております。

自動車産業ならではの長いサプライチェーンも日産自動車は自社だけでなく、サプライチェーン全体のCO2排出量削減を積極的に推進する活動も行っております。生産工場の再エネ化や原材料のリサイクルにも力を入れております。

実は製造過程においては通常のガソリン社よりもCO2排出量が出てしまう電気自動車なのですが、同社は2050年には原材料における70%は新規採掘でない原料に切り替えると目標を掲げております。

▼参考:日産自動車サステナビリティデータブック 2024

SGホールディングス

SGホールディングスは日本に欠かせない物流を担っております。同社ではて天然ガストラックの導入、モーダルシフトの活用などによりCO2排出量削減に意欲的に取り組んでおります。

それだけでなく、SGホールディングスが所持している軽自動車の電気自動車化を2030年までに100%とし、さらに今後のCO2削減計画も発表されております。
モーダルシフトの活用に関しては2004年より夜間運行する電車型特急コンテナ列車を運用したり、フェリーの活用なども行っております。従来の物流の仕組み自体を変えていく大きな挑戦を行っております。

そして物流だけでなく、中間地点の倉庫における電気使用は再エネに切り替え、今後もその活動を拡大していく計画を発表されております。

▼参考:SGホールディングスグループ「統合報告書2024」発行のお知らせ

まとめ


それぞれ企業の業態やビジネスモデルによって目標設定の方法は様々です。
そして昨今自社だけでなく、サプライチェーン上のCO2排出量も減らす動きが進む中ほとんど全ての企業がCO2排出量を算定、そして削減していく必要があります。

各企業の状態にあった方法で目標を設定し、自社だけでなく販売するサービスや商品自体の削減をご検討されてはいかがでしょうか。

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