エシカル消費とは!?企業が取り組むエシカル通信簿と合わせて解説

サステナビリティ(持続可能性)という言葉を聞くと、気候変動やSDGsという単語が連想され、個人よりも企業に関係するもの、というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

しかし最近は、企業や消費者の間で「エシカル消費」という考え方が広まっています。
この「エシカル消費」とは一体何なのでしょうか?そして、なぜ私たち一人ひとりがエシカルな選択を意識することが求められているのでしょうか?

この記事では、エシカル消費が現代社会においてどのような意義を持ち、どのように広がりを見せているのかを掘り下げていきます。
また、企業がどのようにこの動きに対応しているか、具体的な取り組みも合わせて解説します。

エシカル消費によってもたらされる、社会全体のポジティブな変化に焦点を当てながら、読者一人ひとりができる行動の重要性についても考察していきたいと思います。

※エシカル=倫理的・道徳的

消費者が取り組むエシカル消費

目次

エシカル消費とは

エシカル消費とは、「地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動」を指します。
私たち一人一人が社会的な課題に気付き、日々の買物を通してその課題の解決のために、自分は何ができるのかを考えてみること、これがエシカル消費の第一歩です。
SDGs17のゴールのうち、ゴール12に関連する取組です。

エシカル消費の歴史

エシカル消費は、消費者が社会や環境に対する責任を果たそうとする意識が徐々に発展してきた過程を反映しています。
その始まりは19世紀のイギリスにあり、急速な工業化によって労働者が過酷な条件で働かされていた時代、彼らの権利を守るために立ち上がった運動にさかのぼります。

この時期、一部の消費者や活動家たちは、商品の背後にある労働環境に目を向け、フェアトレードの概念を提唱しました。こうして「社会的に公正な消費」という意識が芽生え、消費行動が社会改善の手段になり得ることが認識され始めました。

20世紀になると、この消費者の意識はさらに広がり、特に1960年代にはアメリカでの市民権運動や環境保護運動の影響を受けて、消費者が労働条件や環境への影響に配慮した購買行動を求めるようになりました。

この時代、企業の労働基準や環境問題への取り組みが問われるようになり、消費者の選択が社会の変革に大きく影響する力を持つことが広く認識されるようになったのです。
こうした動きは、企業に対しても透明性や責任ある経営を促し、エシカル消費が一部の意識の高い消費者の行動から、社会全体に浸透する転換期となりました。

1970年代に入ると、環境問題が一層クローズアップされ、エシカル消費の中でも「グリーン消費」と呼ばれる動きが顕著になりました。
この時代、酸性雨やエネルギー危機といった環境問題が広がる中、消費者は環境に配慮した製品を選ぶことが社会貢献の一環であると考えるようになり、企業もまた消費者のニーズに応えるため、リサイクル素材の使用やエコラベルの導入に取り組むようになりました。

こうしたエシカル消費の進展は、環境保護と消費行動が密接に関わっていることを明らかにし、持続可能なライフスタイルへの転換を後押ししました。

1990年代には、エシカル消費がさらに具体化し、フェアトレード認証制度の確立という重要な進展がありました。これは、発展途上国の生産者が公正な賃金を得られることを保証する仕組みであり、フェアトレード製品の普及を通じて、消費者が簡単に倫理的な選択を行えるようになりました。

この制度は、コーヒーやチョコレート、衣料品といった多岐にわたる商品に広がり、エシカル消費の選択肢を拡大しました。
この時期から、消費者が購買を通じてグローバルな貧困や労働問題に積極的に関与できるという考え方が普及し、エシカル消費が一部のニッチな動きから広範な社会運動へと成長したのです。

21世紀に入ると、エシカル消費の意義はますます多様化し、環境保護に加えて人権、動物福祉、プラスチック廃棄物削減といった幅広いテーマが含まれるようになりました。

気候変動やマイクロプラスチックによる海洋汚染が深刻化する中、消費者は企業の行動に対する評価を一層厳格に行い、SNSやメディアを通じてその影響力を拡大させています。
エシカル消費は今やグローバルなムーブメントとして、企業に持続可能な製品開発や透明性の確保を強く求め、社会全体の倫理基準を引き上げる役割を担っています。

このように、エシカル消費の歴史は、消費者の行動が持つ影響力を最大限に活用して社会や環境の問題に取り組むための重要な手段として発展してきました。

消費者一人ひとりの選択が企業に影響を与え、その結果、より良い社会と持続可能な未来の構築に繋がるという確信が、今のエシカル消費の基盤となっています。
エシカル消費は単なる個人の価値観に基づく選択ではなく、社会全体を変える力を持つ行動として、今後もさらに重要性を増していくでしょう。

エシカル消費の重要性

エシカル消費は、私たち一人ひとりが、日常の消費を通じて持続可能な社会づくりに直接貢献できる点にあります。この消費行動は、単なる商品選択に留まらず、その製品がどのような環境下で生産され、どのような影響を与えるかを意識することを含みます。

エシカル消費を実践することで、私たちは環境保護や労働者の権利保護、社会的公正を推進する役割を担い、同時に企業が持続可能なビジネス慣行を採用するよう促すことができます。

まず、エシカル消費は環境保護において重要な役割を果たします。エシカルな視点で製品を選ぶ消費者が増えると、企業は再生可能エネルギーや低環境負荷の素材を使用するインセンティブを得ます。

例えば、オーガニック製品やリサイクル素材を用いた製品は、温暖化ガス排出の削減や資源の節約に寄与します。こうした製品が選ばれることで、企業はサプライチェーン全体で環境負荷を減らす取り組みを強化し、結果として持続可能な社会を支えるエコシステムが生まれます。

また、エシカル消費は社会的な公正をもたらし、労働者や生産者の生活水準を向上させる力があります。発展途上国の労働者の多くは低賃金や劣悪な労働環境で働いており、その背景には安価で大量生産することへの需要が存在します。

フェアトレードや人権を尊重した製品を選ぶことで、消費者はこうした生産者に対して正当な報酬が支払われる環境を支援し、持続可能な働き方の促進に貢献できます。エシカル消費は、サプライチェーンの透明性を高め、企業に対して責任ある調達や人権保護を求めるメッセージとなります。

さらに、エシカル消費は企業のビジネス戦略にも大きな影響を与えます。消費者が持続可能で倫理的な製品を求めることで、企業は競争力を維持するために、環境や社会に配慮した製品を開発し、持続可能なビジネス慣行を導入せざるを得ません。

結果として、企業は単なる利益追求から社会貢献を重視する姿勢にシフトし、長期的な価値創造を目指すことになります。これは、企業のブランド価値の向上や投資家からの評価にもつながり、企業と消費者が共に持続可能な未来を築く基盤となります。

総じて、エシカル消費は消費者が日々の選択を通じて社会変革に貢献する重要な手段であり、私たち一人ひとりが地球規模の課題に積極的に関わる道を切り開きます。消費者の意識的な行動が企業に影響を与え、その結果、社会全体に変革がもたらされることで、持続可能で公平な未来の実現に近づくことができるのです。エシカル消費は、未来への投資であり、私たちがより良い社会を築くための力強い一歩となります。

個人がエシカル消費に取り組むとどうなる?

取り組むメリット

社会的責任を果たしながら、品質の高い商品を選ぶことができます。また、消費行動が社会や環境にポジティブな影響を及ぼすため、個人的な満足感も増す可能性が高いです 。

取り組むデメリット

購買の選択肢が限られてしまう、価格が高くなるという懸念点があります。また、せっかくエシカル消費を意識した行動をとっても、商品やサービスの透明性が不足していると、その効果や判断が難しくなることもあります 。

しかし、エシカル消費に取り組まないと、環境破壊や社会的不平等を助長することにつながり、未来の世代に悪影響を与える可能性が高まってしまいます。

そのため、環境保護、社会的公正、健康と安全、そして経済の変革を起こすためにも、エシカル消費の重要性は今後さらに加速していくと思われます。

エシカル消費はどのくらい知られている?

消費者庁が令和5年度に行った「消費生活意識調査」の結果を共有します。

エシカル消費の認知度

エシカル消費(倫理的消費)を知っているか聞いたところ、知っていると回答した人は29.3%
(「言葉と内容の両方を知っている」又は「言葉は知っているが内容は知らない」と回答した人)
年代別では、30歳代の認知度が35.6%と最も高いという結果でした。

過去のアンケート結果

(「知っている」と回答した割合)
令和4年度エシカル意識調査 :26.9%
令和元年度エシカル意識調査 :12.2%
平成28年度エシカル意識調査 :6.0%

購入経験のあるエシカル消費につながる商品・サービス

購入経験のあるエシカル消費につながる商品・サービスについては、「リサイクル製品(古紙製品、日用品、文房具、事務用品等)(34.5% )」 と回答した人の割合が最も高く、次いで「地産地消・地元の特産品(30.5%)」、「 省エネ・CO2削減製品(冷蔵庫、エアコン、テレビ、照明器具等)(23.9%)」となりました。
いずれかの購入経験があると回答した人は62.5%でした。

これらのアンケート結果から、エシカル消費について詳しく知っている方は多くないものの、地産地消や省エネ、ファッションや低価格といったニーズにより、結果的にエシカル消費を行っている方が一定数いる、という見方もできると思います。

エシカル消費の課題と展望

企業視点での課題

コストの増加
エシカルな原材料や生産プロセスは通常、標準的な方法よりも高価です。
これにより、製品の生産コストが増加し、最終的な価格に影響を与えることがあります。

認識と評価のギャップ
消費者がエシカルな製品の価値を認識しない場合、企業は投資の回収が難しくなります。
その結果、持続可能な取り組みへの動機付けが低下する可能性があります。

サプライチェーンの複雑性
エシカルなサプライチェーンを維持することは、特にグローバルな供給網を持つ企業にとって複雑でコストがかかる場合があります。

消費者視点での課題

情報の不足
エシカルな製品や企業に関する情報が不足していると、消費者が意識的な選択をすることが困難になることがあります。

価格の高さ
エシカルな製品は高価になる傾向があるため、すべての消費者に選ばれるものではありません。
そのため意識的な消費が一部の人々に限られる可能性があります。

誤解と信頼性の問題
エシカル消費に関連するマーケティングやラベリングが不明瞭であることが多く、消費者が誤解を招く情報に基づいて決定を下すことがあります。

上述で示した消費者庁の令和5年度「消費生活意識調査」では、価格についてのアンケート結果も出ていました。

エシカル消費につながる商品の価格の許容度

エシカル消費につながる商品を今後購入したいと回答した約6割の人に対し、エシカル消費につながる商品がどの程度なら割高であっても購入したいか聞いたところ、最も許容度※の高かった商品は「食料品」で73.5%、最も低かったのは「電力」で60.1%でした。
 ※ 「30%以上」と「10%以上~30%未満」と「0%より高いが10%未満」のいずれかを回答した人の割合

これらの課題に対処するためには、企業と消費者が共に情報の透明性を高め、教育を通じてエシカル消費の理解を深めることが重要です。

エシカル消費の未来

個人や企業、さらには政府レベルでの取り組みが拡大している現状を踏まえると、次のような未来が予想されます。

技術の進化と透明性
新技術の導入により、製品の供給チェーンの透明性が向上し、消費者は製品の製造過程を容易に追跡できるようになるでしょう。
これにより、より倫理的な選択が可能になります。

教育と意識の向上
エシカル消費に対する教育プログラムが拡充され、消費者が持続可能な選択を行うことの重要性についての認識がさらに深まります。
これは、消費行動に直接的な変化をもたらす可能性があります。

政策と規制の強化
政府による持続可能な消費を促進する政策や規制が導入されることが今後予想されます。
これにより、企業はエコフレンドリーな製品を市場に提供することが経済的にも利益につながるようになります。

消費者の力の増大
エシカル消費は、消費者が市場に対して大きな影響力を行使する手段となります。
消費者の選択が企業の政策に影響を与え、社会全体の倫理基準を向上させることにつながるでしょう。

総じて、エシカル消費の未来は明るく、持続可能な社会への重要な一歩となることが期待されます。
消費者、企業、政府が一丸となってこの動きを支持し、推進していくことが求められています。

エシカル消費を取り入れるための具体的な方法

個人ができるエシカルな選択

個人が日常生活でできるエシカルな選択は、地球環境と社会の持続可能性に貢献します。以下に具体的な方法を示します。

製品の選択
フェアトレードやオーガニック製品を選ぶことで、環境や生産者に配慮した消費が可能です。

消費の削減
過剰消費を避け、必要なものだけを購入することで資源の無駄遣いを減らします。
リサイクルとアップサイクル: 使用済みの商品をリサイクルするか、新しい用途に再利用することで、廃棄物の削減に寄与します。

情報の共有と教育
エシカルな消費に関する情報を学び、周囲にその重要性を伝えることも大切です。

エシカル通信簿の役割と影響

エシカル通信簿とは?

ここまでは個人の取り組みとしてエシカル消費のお話をしましたが、企業の取り組みはどうでしょうか。
実は企業側には「エシカル通信簿」という評価指標が存在しています。
消費者にエシカル消費を促すための情報提供の一環として、SSRCが2016年に開始した調査プロジェクトです。日本の企業に求めたい取組みを市民目線で調査し、評価を発表することで、ブランド・商品の選択に寄与することを目指しています。

SSRC:持続可能な社会の実現を目指す、専門性をもったNGO・市民団体が参加し、2016年に設立。環境・消費・人権・アニマルウェルフェアなどの課題に取り組む38の団体が集まるネットワーク団体です(2024年3月現在)。

エシカル通信簿の目的

主な目的は、「企業の持続可能な行動を奨励し、その取り組みを公に評価することで消費者の意識を高め、サステナブルな社会の構築に寄与すること」です 。

エシカル通信簿の歴史

「企業のエシカル通信簿」は2016年度にスタートしており、2023年度で7回目となります。毎年全業界を対象とするのではなく、調査対象とする業界を1年に1つ選び、その業界で売上高上位の企業を対象に調査を行います。初めは食品やアパレル業界に焦点を当てていましたが、徐々にその範囲を広げ、今では大手企業も含めた多業界の企業が評価の対象となっています 。

これまで調査した業界
第1回(2016年度) 加工食品、アパレル
第2回(2017年度) 化粧品、コンビニ、宅配
第3回(2018年度) 家電、外食
第4回(2019年度) カフェ、飲料
第5回(2021年度) スーパーマーケット
第6回(2022年度) 加工食品
第7回(2023年度) アパレル

アパレル業界は第1回(2016年度)でも調査をしているため、第7回(2023年度)のエシカル通信簿では、初めてとなる2回目の調査でした。その背景には、2013年アパレル業界の課題を浮き彫りにしたラナ・プラザビル崩落事故(バングラディシュ)からちょうど10年が経過したというのもあったようです。最近はエシカルファッションという言葉も耳にするようになりましたので、第1回からの変化に注目です。

第7回調査対象企業
・株式会社ファーストリテイリング
・株式会社しまむら
・株式会社アダストリア
・株式会社良品計画
・株式会社ワコールHD
・株式会社ワールド
・株式会社TSI HD
・株式会社オンワードHD
・青山商事株式会社
・株式会社ユナイテッドアローズ
太字は第1回も対象となっていた企業)

特徴的な評価方法

調査の仕方
「企業のエシカル通信簿」は通常の企業評価指標とは異なり、あくまで市民・NGOの目線から、「企業にどうあって欲しいか」「どんな情報を公開して欲しいか」という基準で調査票を作っています。そのため、企業がアンケートに回答するという一般的な方法ではありません。まずは公開情報をもとにSSRCで調査票に記入し、その結果を企業に送って対話を重ね、照会・修正・再検討しながら、最終結果を出しています。

評価方法
もう一つの特徴は、「総合評価」や「ランキング」は行わず、あくまで分野ごとの達成度を評価する「通信簿」の形であることです。

総合点(または全分野の平均点)で企業に順位をつけると、どうしてもそこにばかり目が行き、個々の取組みが見えにくくなります。
企業を批判するのではなく、企業の取組み度合いを消費者に知らせ、企業の良い行動を応援し、最終的にサステナブルな社会を作っていくことが目的なので、分野ごとの評価を大事にしています。

評価項目
1:サステナビリティ体制
2:消費者の保護・支援
3:人権・労働
4:社会・社会貢献
5:平和・非暴力
6:アニマルウェルフェア
7:環境

これらの7分野(大項目)について、企業の持続可能な社会に向けての取組みの可否や、企業が抱える課題を調査・分析します。
各分野は10段階で評価され、その結果は公に発表されます 。

エシカル通信簿2023結果発表

大項目の「環境」だけはさらに6分野(小項目A~F)に分けて、こちらも10段階で評価します。
A:環境ガバナンス
B:気候変動
C:ゴミ削減
D:生物多様性
E:化学物質
F:水

<2023年度調査概要> 

ハイブランドのサステナビリティ推進やファストファッションの変容により、第7回の2016 年度調査時(5社)と比較すると、情報公開、取組み内容、そしてSSRCの呼びかけへの対応のすべてにおいて、質・量ともに全体的に向上していることがわかりました。

調査票は毎年改良を加えているため、全く同列で比較はできないものの、 主に「サステナビリティ体制」「人権・労働」「環境」の分野で大きく進展がありました。
逆に「平和・非暴力」「アニマルウェルフェア」は一部企業を除きほとんど進展が見られませんでした。 また分野によっては最低「2」から最高「9」までと、企業間のばらつきが大きくなりました。

SSRCとのやり取りに応じた企業は、追加で情報を確認することができたので評価が高くなりました。
またやり取りに応じた7社のうち、結果発表会の後の「個別ダイアローグ」にも積極的に参加の意思を示した企業が3社ありました。
本プロジェクトを自社のサステナビリティへの取組み向上に生かそうという姿勢の表れであると言えそうです。

企業が取り組むべきエシカルな戦略

企業には、エシカルな戦略を取り入れることで、ブランド価値を高めると同時に社会的責任を果たすことが求められます。

持続可能なサプライチェーン
原材料の調達から製品の配送に至るまで、環境に配慮した方法を選び、透明性を確保します。

エシカルな労働環境の提供
公正な労働条件を確保し、従業員の権利を守ることで、倫理的な基準を満たします。

製品の持続可能性
製品のライフサイクル全体を考慮し、再利用可能またはリサイクル可能な材料を使用します。

社会的責任の取り組み
コミュニティとの関わりを深め、社会的課題の解決に積極的に貢献するプロジェクトを実施します。

エシカル通信簿の活用方法

「エシカル通信簿」は、企業と消費者の双方にとって重要な役割を果たしています。

企業視点

透明性の向上
エシカル通信簿は、企業が自社の社会的および環境的取り組みを公開することで、透明性を向上させる手段となります。これにより、信頼性の向上につながります。

改善の指標
評価を受けた結果は、企業が自身の持続可能性の実践にどの程度取り組んでいるかを示すバロメータとなり、必要な改善点を明らかにします。

ブランド価値の強化
良い評価を受けることで、企業のブランド価値を高め、消費者や投資家に対してポジティブなイメージを与えることができます。

消費者視点

情報に基づく選択
消費者はエシカル通信簿を利用して、企業の社会的、環境的責任を理解し、情報に基づいた購買決定を行うことができます。

支持の表明
エシカル通信簿の結果を参照することで、消費者は倫理的に行動する企業を支持し、そのような企業の製品やサービスを選ぶことで、倫理的な市場を育成する手助けができます。

エシカル通信簿による消費者への影響

「エシカル通信簿」は消費者の行動に大きな影響を与えることを一つの狙いとしています。この通信簿により、企業の社会的および環境的実践の評価が公開されることで、消費者はより情報に基づいた選択が可能となります。

情報提供の拡大
エシカル通信簿は、企業がどの程度社会的責任を果たしているかについて、具体的なデータを消費者に提供します。
これにより、消費者は企業の倫理性を考慮に入れて製品を選ぶことができるようになります。

購買行動の変化
明確な倫理的基準に基づく評価は、消費者がエシカルな製品を選択しやすくするため、サステナブルな商品やサービスへの需要を増加させます。
これは市場において持続可能な選択肢を増やす効果を持ちます。

製品の生産背景を調査する
購入前に製品がどのように生産されているかを調べることが大切です。
例えば、労働者が公正な条件で働いているか、環境に配慮した生産方法が取られているか等。

エコラベルや認証マークを確認する
製品に付与されているエコラベルや認証マークをチェックすることで、その製品が持続可能な基準に従って製造されたかがわかります。
例えば「フェアトレード認証」や「オーガニック認証」などがあります。

地元の製品を選ぶ
地元で生産された製品を選ぶことで、運送に伴う環境負荷を減らすことができます。
また、地域経済を支援するという社会的な利益もあります。

持続可能な材料から作られた製品を選ぶ
再生可能な資源やリサイクルされた材料から作られた製品を選ぶことは、自然資源の消費を抑える効果があります。
例えば、竹やリサイクルプラスチックなどが使われた製品です。

長持ちする品質の良い製品を選ぶ
使い捨て文化に反対し、耐久性が高く修理可能な製品を選ぶことで、製品の寿命を延ばし廃棄物の量を減らすことができます。

セカンドハンド製品を利用する
中古品の購入やリユースは、新たな資源の消費を抑えるだけでなく、廃棄物の削減にもつながります。
また、多くの場合、中古品は新品に比べて価格が抑えられるため、経済的なメリットもあります。

消費者意識の向上
消費者はエシカル通信簿を通じて、企業の持続可能性や社会への影響について学び、自身の消費が環境や社会にどのような影響を及ぼすかをより深く理解するようになります。

これらの行動を通じて、消費者は自身の購買行動を見直し、社会や環境に配慮した製品選びをすることが可能です。それぞれの選択が、大きな変化を生む第一歩となります。
総じて、「エシカル通信簿」は消費者が自らの倫理観に基づいた意識的な選択を行うための重要な手段であり、持続可能な消費文化の推進に貢献しています。

まとめ

エシカル消費は、人・社会・地域・環境に配慮した購買行動であり、私たち一人ひとりが日常生活を通じて持続可能な未来に貢献できる手段です。

歴史をたどると、19世紀の労働者保護運動から始まり、フェアトレードやグリーン消費、近年では人権や動物福祉までテーマが広がり、今や世界的なムーブメントとなっています。
消費者庁の調査では認知度はまだ約3割にとどまるものの、リサイクル製品や地産地消、省エネ製品を通じて実際には多くの人がすでに関わっています。

企業も「エシカル通信簿」による評価を受けながら透明性や責任ある経営を求められ、行動変容を迫られています。
エシカル消費は単なる流行ではなく、社会全体を変える力を持つ行動です。
小さな選択の積み重ねが企業を動かし、持続可能で公正な社会を実現する鍵となるのです。

(余談)
日本で5月といえばGWをイメージする方がほとんどだと思います。
しかし、実は同じ5月に消費者庁が「消費者月間」という啓蒙活動を毎年実施しています。

今年のテーマは「デジタル時代に求められる消費者力とは」という内容でした。
みなさんも改めてエシカル消費について考えて、そして小さなことからで構いませんので、何か行動に移せると素敵だと思います。

<出典>
消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク(SSRC)
https://cnrc.jp/wp-content/uploads/2024/03/29e495e6740cf5c5e8777fdaf91d69fe-1.pdf
消費者庁  令和5年度第3回消費生活意識調査結果について
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumerresearchcms20123110901.pdf
消費者庁 消費者月間
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumereducation/publicawareness/gekkan/2024

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