中小企業が環境経営を実現するためのエコアクション21の活用方法

環境に関する認証制度は年々増えており、国が策定しているもの、ISOを活用したもの、社団法人が策定しているもの、企業が独自に出しているもの、業界独自なものがあったりと様々なものが世の中に出ています。
その中の1つに、主に中堅、中小企業、自治体向けの認証制度として、環境省策定のガイドラインに基づき「環境経営」の認証・登録をする「エコアクション21」があります。
本記事では、エコアクション21について詳しく解説していきます。



エコアクション21の概要
エコアクション21 とは、環境省が推進している環境マネジメントシステム及び環境報告書の統合型ガイドラインです。
中小企業や地方公共団体など、幅広い組織が参加しており、持続可能な社会の実現に向けた活動を推進する認証制度です。
2025年2月末時点で、7,545の企業や地方公共団体が認証・登録されています。
▼参考:エコアクション21認証・登録制度の実施状況(2025 年 2 月末現在)
特徴としては、
- ISO14001規格を参考としつつも中小企業や小規模事業者でも導入しやすいよう、用意に取り組めるようにしています。

- 環境マネジメントの取り組みを通じて得られる成果などを積極的な情報開示を促進しています。(環境への取組を環境経営レポートという形での公表を必須としています)
- また計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクルに基づいて、持続的な環境活動を推進しています。

エコアクション21の導入手順
導入プロセスは、以下のステップに分けることができます。
ステップ1:経営者のコミットメントの確認
エコアクション21を導入するためには、まず経営者の理解と支持を得る必要があります。
環境マネジメントシステムの導入には、全社的な協力が不可欠であり、経営者がその重要性を認識し、明確なコミットメントを示すことが重要です。
ステップ2:推進体制の構築
エコアクション21の導入を円滑に進めるために、社内に推進組織を設け、責任者や担当者を決定します。これにより、計画や運営をスムーズに行える体制を整えます。
- エコアクション21推進チームの編成(経営者、担当部署、各部門からの代表者など)。
- 推進責任者(環境管理責任者)の指名。
- 導入のための目標設定とスケジュールの策定
ステップ3:現状分析と環境側面の特定
企業の活動がどのように環境に影響を与えているかを分析し、環境負荷の大きい「環境側面」を特定します。
これにはエネルギー消費、水使用、廃棄物排出などが含まれます。
- 現在の業務プロセスを確認し、エネルギー消費、排出物、使用材料などを調査。
- 環境負荷に影響を与える要因を整理し、環境側面をリストアップ。
- その中から特に改善が必要な「重要な環境側面」を特定。
ステップ4:環境目標・目的の設定
現状分析を基に、改善すべき具体的な環境目標や目的を設定します。これにより、環境活動の方向性が明確になります。
- 環境側面に基づいて、数値目標を含む具体的な目標を設定。
- 例として、「エネルギー使用量を年間5%削減」「廃棄物のリサイクル率を10%向上」など。
- 環境目標を達成するためのアクションプランを策定。
ステップ5:マニュアル・手順書の作成
説明:エコアクション21の運用のために、手順やマニュアルを整備します。
これにより、全社員が一貫した対応ができるようになります。
- 環境管理に関する手順書やマニュアルを作成(例えば、廃棄物の分別手順、エネルギー使用のモニタリング方法など)。
- 社員全員がそれを理解し、実行できるように教育や研修を実施。
ステップ6:環境活動の実施と記録
計画に基づいて、環境活動を実際に実施します。
活動が効果的であるかを確認するため、すべての活動は記録され、後で評価される必要があります。
- 環境目標に沿った活動を実施。
- すべての活動や結果を記録する(エネルギー使用量や廃棄物排出量などのデータ収集)。
- 各活動の進捗状況を定期的にチェック。
ステップ7:内部監査の実施
エコアクション21の運用が計画通りに進行しているかを確認するため、内部監査を実施します。
この段階では、問題点の特定や改善点の洗い出しが重要です。
- 内部監査の計画を立て、定期的に実施。
- 環境活動の記録や手順に問題がないかを確認。
- 不備があれば、是正措置を提案し、改善を図る。
ステップ8:環境経営レポートの作成
エコアクション21に基づいて実施した環境活動の成果や状況をまとめた「環境経営レポート」を作成します。
- 環境目標の達成状況、環境負荷の変化、改善活動の内容などをレポートにまとめる。
- レポートの内容を社内外に共有し、透明性を確保。
ステップ9:外部審査の申請と対応
エコアクション21の認証を受けるために、外部審査機関に審査を申請し、認証取得に向けた準備を行います。
審査では、取り組みが適切に行われているかが評価されます。
- 審査機関への申請手続き。
- 審査に向けた必要書類や記録の準備。
- 審査時の質問や確認に対応。
ステップ10:認証取得と継続的な改善
外部審査に合格すれば、エコアクション21の認証が取得できます。
しかし、これは終わりではなく、継続的な改善活動を続けていくことが求められます。
- 認証取得後も環境活動を継続し、定期的に評価・見直しを行う。
- さらなる改善に向けて新たな目標や施策を設定し、環境パフォーマンスを向上させる。
エコアクション21の利点や重要性
エコアクション21に取り組む意義としては、いくつか考えられますが以下のようなところが重要性としては高くなります。
1. 環境問題への対応としての重要性
現代の社会は地球温暖化、生物多様性の損失、資源の枯渇など様々な環境問題に直面しています。
これらの問題への取り組みが求められる中で、「エコアクション21」は組織が自らの環境負荷を把握し、持続可能な方向にシフトするための枠組みを提供していますので最初の取り組むの1歩、現状把握としては非常に有益です。
2. 持続可能な経営の実現
「エコアクション21」を取り入れることで、組織は持続可能な経営活動を追求することができる。環境配慮を経営の中心に据えることで、経済的な利益と環境保護の両立を実現でき、対社外へも伝えることができます。
3. ステークホルダーとの信頼関係の強化
環境情報の公開や持続可能な取り組みを通じて、消費者や取引先、投資家などのステークホルダーとの信頼関係を築くことができます。
4. 中小企業や地方自治体でも取り組みやすい
「エコアクション21」は、その柔軟なフレームワークにより、大企業だけでなく中小企業や地方自治体でも導入しやすい。
これにより、環境問題への取り組みがさらに広がる可能性がある。
5. 環境活動の標準化とシステム化
組織内での環境活動がランダムであると、その取り組みは継続性を欠くことが多い。
しかし、「エコアクション21」を導入することで、環境活動を標準化・システム化し、効果的な取り組みを持続的に行うことが可能になる。
まとめ
エコアクション21は、環境省が策定した中小企業や自治体向けの環境マネジメント認証制度で、ISO14001を参考にしながらも導入しやすい点が特徴です。
計画・実行・評価・改善のサイクルに基づき、環境負荷の現状把握から目標設定、内部監査、環境経営レポート作成までを体系的に進めます。
導入により、持続可能な経営の実現やステークホルダーとの信頼構築が期待でき、環境活動の標準化・透明性向上にも寄与します。信頼ある第一歩として有効な制度です。