IR室が主導するサステナビリティ│自動車ディーラーとして全社を巻き込んだ取り組みとは

株式会社ウイルプラスホールディングス
経営戦略本部 IR室 小林 楓様
IR室が主導するサステナビリティ│自動車ディーラーとして全社を巻き込んだ取り組みとは自動車業界におけるカーボンニュートラルの代表的な取り組みとして、ガソリン車から電気自動車、水素自動車へシフトするというのは、既にみなさんもご存知だと思います。
では、その自動車を販売しているディーラーは、脱炭素についてどんな取り組みをしているかご存知でしょうか。自動車メーカーから見るとディーラーもサプライチェーンに位置するため、脱炭素の取り組みは不可欠ですが、その取り組み事例は今のところほとんど開示されていません。
今回は、ジープやMINIなど11ブランドを取り扱う輸入車正規ディーラーとして脱炭素に取り組むウイルプラスホールディングス様の中でも、サステナビリティを担当するIR室のお二人にインタビューをしてきました。
ディーラーという立ち位置でCO2削減に取り組む動機や、サステナビリティ活動と通して感じた課題とその解決方法、全社で取り組んでいる具体的な活動事例についても詳しくご紹介します。
※1:一般社団法人日本自動車工業会
はじめに、IR室がサステナビリティを担っている背景を教えてください
中期経営計画にサステナビリティ基本方針が組み込まれたのですが、そういった経営戦略を作成しているのが経営戦略本部です。そして私達のいるIR室は経営戦略本部の中に位置しており、併せて社内のサステナビリティ(主に気候変動)に関する監督の役割や責任を有しているサステナビリティ委員会事務局としての任を担っています。
IR室の大きな目標の1つに時価総額を上げるというのがあります。それを達成するための手段として、「企業価値の向上(M&A等)」と「社会的価値の向上」、二つの柱を置いていまして、サステナビリティについては「社会的価値の向上」の取り組みになります。
会社としてサステナビリティへ取り組むことになったきっかけはありますか?
上場企業としての社会的責任や成長ストーリーを考えたときに、サステナビリティ、特に気候変動問題への取組みは必須だよね、という話は以前からありました。なぜなら欧州の自動車メーカーは、世界的に見ても気候変動問題への取り組みがとても積極的だからです。弊社はメーカーから見るとScope3に当たりますので、今後も自動車メーカーと付き合っていくなら、GHG排出量は開示しないといけない、メーカーが削減努力をしているのだから、サプライチェーンの企業も一緒に努力しないといけない、という考えは自然と持つようになりました。

あとは、実際にメーカーからの開示要求が増えてきたという動きもあります。ディーラーとして欧州の自動車メーカーに選ばれ続けるためには、このような取組みは不可欠だと感じています。
こういった状況の中で、コーポレート・ガバナンスコード改定や、2022年4月には、プライム上場企業のCDP回答要請が重なったこともあり、会社としてサステナビリティに本格的に取り組むきっかけになったと思います。
GHG算定において、ScopeX導入前はどんな課題がありましたか?
ディーラーは自動車(CO2を排出する乗り物)を販売する立場ということもあり、GHG排出量削減をミッションにしている企業はほとんどありませんでした。そのため参考にする資料が少なく、手探りの状態から始まりました。0からどうすればいいのか、進め方や算定範囲の特定、必要なデータの整理など、知識ゼロの状態で情報収集から始まりました。
日本でも自動車メーカーであれば各社GHG排出量算定に取り組んでいますが、ディーラーとなると上場企業数がそもそも少ないこともあり、取り組んでいる企業はごくわずかでした。
一番大変だったのはやはりGHG排出量の算定ですね。本当に分からないことが多かったので、Scopeって何?Scope3の対象は?この単語の意味は?というかなり細かい質問を、とにかく林さん(ScopeX担当)へ相談しました。迅速に丁寧に回答してくれてとても助かりました。
CDP回答の期限が迫りながら、でも算定に必要なデータは完璧に揃っていないという状態だったので、今あるデータでCDP回答がどこまでできるのか、あと何のデータがあれば回答できるのか、分からないなりに自分たちでもとにかく調べながら対応していました。
ScopeXを選んだ決め手はどこでしたか?
他の算定ツールについても情報を取りましたが、実際にGHG排出量算定をしたことが無かったので、ツールの比較も難しい状況でした。
そんなときに、当時ScopeXのβ版を無償で使えるというお話をいただいたのは、とてもありがたかったです。実際にツールを触りながら算定することで業務の解像度も上がり、自社にはどんな機能が必要なのかも分かるようになりましたし、β版を使うことで、他の算定ツールの良し悪しも比較できるようになりました。
限りあるデータの範囲で、どのような算定ができるのか、林さん(ScopeX担当)にはこのシナリオ作成でも凄くお世話になりました。弊社からScopeXに対しての疑問やシステムの設定変更要望等については、とても柔軟に対応していただきまして、そこは本当に助かりました。
もう出来上がってしまっている大手企業様のシステムであれば、自社にマッチした使い方ができない可能性もあったので、β版を使いながら算定に取り組めたことは大きかったです。
β版から製品版への切り替える際にも、実際に使用した実感や今後のどのように活用していくのかなど具体的に他社のシステムと比較する事ができました。
社内で取り組んでいるサステナビリティ活動はありますか?
全店舗で毎日、その日に出たゴミを計量しています。数値として見える化ができると、社員同士の意識も上がってきていると思います。
この取り組みで、なるべくゴミが増えないようにしよう、昨日よりも減らそう、という考えが無意識に生まれているのを実感しています。
あとはサステナビリティコンテストを実施しています。
毎回テーマを決めて、全店舗(約530名)からサステナビリティの取り組みに関するアイデアを募集し、表彰するというものです。どのくらい募集があるのか始めはとても心配していましたが、やってみると100件以上のアイデアが集まり、期待以上の成果や盛り上がりがありました。
過去のテーマ(参考)
- 第一回:3R
- 第二回:企業版ふるさと納税
表彰されたアイデアの中から、直ぐに取り入れられるアイデアは社内にて共有し社員へサスティナビリティへの意識付けと活動を促し、また、店舗のペーパーレス化を進めるためのタブレット配布なども実際に社員からのアイデアを形にして実現いたしました。
若い方はサステナブルに関心が高いという話をよく聞きますが、弊社もその傾向があったように感じています。各店舗から本社へ、電話でコンテストの質問をしてくるのは若い方が多かったです。開催後も、「次回は表彰目指して頑張ります」という声を複数いただきました。
なぜそこまで取り組みが活発になったと思いますか?
普段の業務以外でも評価・称賛(表彰)される可能性があるという点は、楽しんでもらえている、参加者のモチベーションに繋がっている、と感じました。
こういった業務以外の取り組みは、インセンティブを出しても参加しないケースも多いと思います。コンテストにこれだけの応募があったということは、普段から社員みんなの根底にも、サステナビリティへの興味関心が多少なりともあって、それを行動に移すきっかけになったのではないかと思っています。
弊社は事業会社が複数あるのですが、そこで既に似た取り組み(省資源やコスト削減をメインにしたスマートコンテスト等)をしていたため、サステナビリティコンテストも違和感無く取り組めたというケースもあります。
最後に今後の脱炭素についての方針を教えてください
GHG排出量算定を2年分実施したりCDPも2回対応したりしているので、算定や開示についてはある程度できるようになりました。今後はデータ粒度の向上や、把握したCO2を実際に減らしていくことがとても重要だと思っています。
弊社のGHG排出量は、ほとんどがScope3-カテゴリ11(消費者による製品の使用)です。ここはEVの割合が増えることでCO2排出量を一定数削減できると考えています。EV増加に合わせて増加する電気使用量に対しては既に再エネの導入も進めております。
しかしそれだけではなく、自社で直接排出しているCO2の削減も、減らす努力をする必要があると考えています。
【脱炭素ルーティン】
マイボトル、エコバッグ、お弁当持参でサステナブルなライフスタイルを過ごす。
マイボトルをIR室のみんなにプレゼントしマイボトル普及を推進。

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