全社で取り組む脱炭素経営│研修とCO2算定ツール両方を活用したAtomis社の事例

近年、多くの企業が脱炭素に取り組み始めています。現状の把握としてCO2算定ツールを導入するのはもちろんですが、その前の段階として、会社として脱炭素について理解をしよう、取り組みの腹落ち度を高めようと、脱炭素研修のニーズも高まっているように感じています。
今回のインタビューでご紹介する株式会社Atomis(アトミス)は、ベンチャー企業でありながら、環境対策への高い意識を持っています。Atomis社の皆様に、脱炭素研修を実施された背景やScopeX導入の決め手、そして実際の活用状況についてお話を伺いました。

はじめに、どんな会社なのか教えてください

株式会社Atomis(アトミス)は、多孔性配位高分子(PCP/MOF)をはじめとする次世代多孔性材料を用いて、気体の新しい可能性を探求する企業です。
多孔性配位高分子は、ナノサイズの空孔を持つ高分子で、気体を選択的に吸着したり、化学反応させたりすることができます。この技術により、気体の貯蔵・分離・変換などの分野で革新的なソリューションを提供できます。
Atomisでは、材料の設計評価、製造のみならず新しいアプリケーションの開発に取り組み、気体の自在な制御と未知なる価値の創出に貢献してまいります。

今回、脱炭素研修を受講されたのはどういった背景がありましたか?

当社製品のPCP/MOFは、CO2をはじめとする温室効果ガス(以下GHG)を吸着分離するための材料として期待されています。そのため、昨年から、製品単位のCO2排出量(LCAやCFP)について聞かれることが増えてきました。
こういった近年の環境意識の高まりから、自社でも製品単位あたりのCO2排出量を削減するための取り組みが必要だと判断しました。しかし、LCAの基本的な知識や、製造時のCO2算定方法に関する基礎的な知識が不足していたため、体系的に学ぶために研修をすることにしました。

研修を探すにあたって情報収集の仕方や、ScopeXの研修に決めた理由を教えてください。

情報はインターネットで検索する程度でした。ScopeX様の研修は(公財) 新産業創造研究機構(以下 NIRO:ナイロ)様よりご紹介をいただきました。NIRO様とは普段からお付き合いがあり、色々と情報共有していただく中で、ScopeX様の研修もご案内いただきました。TBM社については社長をはじめ、社内でも知っている人が複数いましたし、環境配慮素材を開発しているという共通点もありましたので、特に懸念や不安は無かったです。

研修にはどのようなことを期待していましたか?

ネットに出てくるような情報以外の内容が知りたかったです。自社の状況に合わせた具体的なCO2排出量の計算方法や、細かい疑問も多くありましたので、そこが聞けるといいなと思っていました。

実際に研修を受けてみていかがでしたか?

研修内容については、研修前に別途オンラインMTGの時間を設けて、弊社が希望する研修内容をヒアリングして頂きました。そのため弊社オリジナルの研修内容を個別に作って頂きました。毎回の研修では前回の内容がレビューされ、当日の内容について理解が深まりました。

さらに実務に即した研修となるように、TBM様が有料で提供されているScopeXを無料で使用させて頂き、実際に手を動かしてCO2排出量を計算できました。計算過程において実務上発生しうる疑問点についても解説をして頂きました。
そのため、研修内容の充実度は非常に高かったです。

LCAの理解だけでなく、人に何かを伝えるための方法を学べた点としても、とても良い講師の方に担当して頂いたと感謝しています。そして今回の研修を主宰して頂いたNIRO様のご担当者様とは、今まで以上に会話の頻度が増したことで、研修以外でも多方面にわたり、スタートアップに不足しているスキルや、社外ネットワークを補完する支援を頂いています。

研修について少しでもお役立ちできて光栄です。
後半のインタビューはScopeXの導入についてお伺いします。

ScopeX導入前に抱えていた課題はございますか?

CO2排出量の計算を、専用ツールを使わずにExcelでやってみたのですが、とても時間がかかりました。そのため、CO2排出量の計算はやりたいけど、取り組むなら少しでも効率的にやりたいという思いがありました。

数あるCO2算定サービスの中からScopeXにされた決め手は何ですか?

ScopeX以外の情報も取りましたし、社内でも本当にScopeXでいいのか、という質問もありました。色々と情報収集した結果、システムの機能面よりも、サポートの手厚さでScopeXの導入を決めました。
CO2の算定は、式や排出係数は正直どのツールを使っても変わらないので、それよりも長期でお付き合いするなら、サポート体制がしっかりしている方が重要だろうと感じたので。

ScopeXを導入してみた感想を教えてください

サポートは期待していた通りで、回答も早くて満足しています。実際にExcelで計算したこともあったので、専用ツールによる工数削減も実感できました。
また、社内のホットスポット(排出量が多いもの)が分かるようになった点や、電気代等の活動量データを収集するために、色々な関係者とのコミュニケーションが増えた点も良かったです。

ScopeXについて改善のご要望があればぜひ聞かせてください

以前、CSVの一括インポート機能を希望していましたが、これは7月にリリースを予定しているということでしたので、特に大きな改善要望はありません。しいていえばLCAのなかでもGHG以外の排出係数が登録されていると、製品単位の算定で活用できるので良いなと思いました。

貴重なご意見ありがとうございます。今後のサービス改善に活用させていただきます。
最後に後藤様、加納様、佐伯様が個人的に取り組んでいる脱炭素ルーティンについて教えてください

加納様:マイバックは仕事でもプライベートでも常に持ち歩いています。

佐伯様:通勤ではCO2排出量の多いマイカーを使わないように、公共の交通機関を利用しています。

後藤様:自宅ではエアコンを控え、設定温度に気をつけています。
会社としての取り組みは、メインの事業が直接社会の脱炭素につながりますので、事業を推進することが最重要だと捉えています。

株式会社Atomis  HP

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