建築会社が踏み出した脱炭素経営の第一歩 ~CO2算定からはじめる社内を巻き込んだ取り組みとは~ 

スワテック建設株式会社
総務課長  岩波 龍一 様

日本のCO2は80%以上を企業が排出しているため、日本のカーボンニュートラル達成は、企業の脱炭素活動にかかっていると言っても過言ではありません。しかし、脱炭素に取り組んでいる会社は大手企業を除くと、まだまだ少ないのが現状です。特に非上場企業となると「優先順位を上げづらい」というお話も多く耳にします。

今回インタビューに応えてくれたスワテック建設も、そういった状況でありながら脱炭素に取り組むという判断をされました。脱炭素経営に取り組むきっかけや、実際に取り組んでみたエピソードについてお伺いしました。

目次

会社として脱炭素経営に取り組んだきっかけを教えてください

多くのメディアで企業のサステナビリティや脱炭素を聞くようになっていたので、うちも何か取り組まないといけないよね、という雰囲気はありました。取り組むきっかけとなった要因の1つは競合企業様の動きです。脱炭素経営に取り組んでいるという内容が、地元の新聞や業界誌でも取り上げられたため、自社も脱炭素経営の一歩目を踏み出そう、という判断になりました。

当時はどんな課題がありましたか?

会社としても初めての取り組みなので、何をどういう風に始めればいいのか、右も左も分からないというのが当時の状況でした。そこで経営陣からの紹介で環境コンサルタント(RE諏訪湖株式会社│ScopeXパートナー企業)に相談したところ、まずは取り組みやすい中小企業版SBTの申請から対応することにしました。RE諏訪湖(株)代表の元木様はこれまでも太陽光やバイオマス発電等でお付き合いがありましたので、SBT申請の情報収集も元木様への相談がメインでした。

ScopeXの話を聞こうと思ったきっかけを教えてください

信頼している元木様から紹介されたサービスというのは大きかったです。はじめはExcelでの算定方法を教えてもらいましたが、工数がかかるという懸念点があったので算定ツールもいくつかご紹介してもらいました。そこでScopeXも初めて知りました。

ScopeX導入の決め手はどこでしたか?

一番はシステムのインターフェース、使いやすそうというシンプルさです。デモ画面を見せてもらった時に、自分でも使えそうというイメージが具体的にできたのは大きかったですね。ITシステムの中には、画面を開いてもどこから触れば良いのか分からない、というものもあるので。その点ScopeXはシンプルで、操作のイメージもしやすかったです。

中小企業版SBTはScope2までの算定でいいので、導入費用も全く気にならなかったです。もちろん他社の算定ツールについても情報をいただきましたが、機能が多くて使い切れないかもしれない、という心配がありました。

導入前にScopeXへ期待したことや、導入後の所感について教えてください

先ほどもお話した通り、システムの使いやすさは期待していました。あとは排出係数を更新してくれる点も助かりますね。
実際に導入してからは、サポート面でお世話になったという印象があります。例えば電気の算定で、一部利用量が取得できないケースがありました。サポートの方へご相談したところ、すぐに代替案をご提出いただいたのでとても助かりました。

算定業務で大変だった点はありますか?

1年分の算定データを社内で集めるのが大変でした。建設業では協力業者さんが使用する燃料などを元請である当社が立替えるケースもあるので、算定範囲のルール決めは、コンサルの元木様にも相談しながら進めました。

脱炭素について今後の計画を教えてください

まずは社内の意識醸成です。会社としてSBT申請をするという認識をしている社員はまだ少ないので、なぜ取り組む必要があるのか、定期的な勉強会や意見交換会を開催してしっかり浸透させようと思います。参加メンバーは各部門から推進委員(仮)として選抜する予定です。脱炭素活動の責任者は私ですが、社長からも2030年(6年後)を見据えた取り組みをするよう全社員に発信があったので、そのへんは巻き込みやすいなと思っています。

経営層が脱炭素への関心が高いのはなぜでしょうか

普段の仕事(住宅リフォーム等)でも、太陽光や蓄電池をセットで提案しています。そのくらい建築業界では、省エネや脱炭素が身近になっているという点は1つの要因だと思います。長野県では工事の入札で環境対策が加点になる案件も増えてきています。私達の住む諏訪市もPPAをメインで推進しています。

貴社として脱炭素の取り組みをどこに結びつけたいですか?

具体的な方針についてはこれからですね。社内の勉強会も通してみんなで決めていきます。会社の使命に「建設の業を軸に豊かな地域社会の発展に貢献する」とあるように、脱炭素活動を通じて諏訪地域のためになることをしていきたいです。

【岩波様の脱炭素ルーティン】
お昼は500mほど離れたコンビニへ車で移動していましたが、徒歩に切り替えました。健康を意識してはじめたことですが、結果として脱炭素につながっていますね。あとはマイホームを建てたときに、高気密や高断熱の素材を意識して取り入れたので、省エネ性も高いと思っています。

※PPA(Power Purchase Agreement)
「電力購入契約」。 電力の需要家(企業/自治体/自宅など)が所有する建物の屋根や遊休地をPPA事業者に貸し、そこに太陽光発電設備を設置して再生可能エネルギー電気を調達するシステム

スワテック建設株式会社 HP

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