中小企業のGXを促進│Adeccoが東京都と共に企画運営するシンポジウムの舞台裏

Adecco(アデコ株式会社)
キーアカウント事業本部 ソリューションセールス事業部 事業企画部
ワークスタイル推進課
加藤 憲(かとう ただし)
東京都は、2050年までに世界のCO2排出量実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」の実現を掲げ、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減(2000年比)するカーボンハーフを目指した取り組みを加速されています。そのなかでも、都内の産業分野におけるCO2排出量の60%を占める中小企業等が脱炭素に取り組むことは、特に重要です。しかし、現状は70%以上が脱炭素化に取り組めていません(*1)。
そこで東京都は2023年10月5日(木)、中小企業等の脱炭素化促進を目的として、「第1回 GX(*2)普及啓発シンポジウム2023」を、六本木・泉ガーデンギャラリーとオンラインで同時開催しました。
今回のインタビューは本シンポジウムを東京都から見事受託し、企画・運営の責任者を務めるAdecco(アデコ株式会社)の加藤様へ、イベントへの想いやTBMをパートナーに選んだ背景についてお伺いしました。
(TBMはAdeccoのパートナー企業として、イベントで発生するCO2の算定やカーボン・オフセット、会場の廃プラスチック回収、LIMEX製リーフレット作成等、お手伝いしています)
*1:フォーバルGDXリサーチ研究所「中小企業のGXへの取り組み」
*2:グリーン・トランスフォーメーションの略。化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のこと
はじめに加藤様のご経歴を教えてください
現職が3社目になります。新卒はJTB(旅行会社)で店舗の窓口業務を2年、法人営業を8年勤めました。営業のうち6年間は団体旅行のセールスや京都で大学生の留学支援の営業や提案をしていました。その後イベント企画部門へ異動し、製薬会社様のイベント企画・運営を中心に2年間実施していました。
特にイベントの企画・運営に興味があり、2社目はイベント会社へ転職しました。そこでは市民向け展示会や製薬会社のイベントの他、国際会議や行政主体のイベントにも携わりました。
アデコ株式会社に入社してからはソリューションセールス事業本部に所属しています。行政と協業して社会課題を解決するというミッションを掲げていて、東京都主催のイベントなどをメインに大学や他の自治体のイベントにも携わっています。具体的には企業へ専門家を派遣(DX人材、中小企業診断士等)したり、B to C事業だとイベントの企画・運営をすることで機運を醸成したり認知拡大を図るということをしています。今回の東京都主催 GX普及啓発シンポジウムもその1つです。
イベント受託までの背景や想いを聞かせてください
もともとは社内の別のチームが東京都から相談をもらったのがきっかけです。
GXについては国内の認知や浸透はまだまだこれからという一方で、国としては本腰を入れて取り組んでいく、社会的なムーブメントとなるプロジェクトです。
私はこれまで世界環境学生サミットや、HTT(電力を減らす・創る・蓄める)啓蒙イベントを運営した経験をしていましたので、社内でも私が担当することになりました。

過去に国際会議の運営にも携わったことがあり、そこで参加者の利便性よりも環境を配慮したイベント運営という、環境対策への意識が非常に強いというのを目の当たりにしたのは、今でも覚えています。今回のシンポジウムでもこういった経験が活かせると思いました。また、GXというテーマは今後ますます需要が高まることが予想されるため、会社としても携わっていきたいという狙いもありました。
知る▶深める▶取り組む、というステップのうち、当社はイベント運営を通して取り組みを促すという点に強みがあります。このプロセスの中で、企画という根っこの段階から携わることで、より当社の強みを活かしたイベントに出来る、とイメージしながら本イベントの企画に挑みました。
TBMをパートナーに選んだ決め手はなんでしょうか
企画を考えるなかで、講演やパネルディスカッションの他に、イベント自体のCO2見える化やカーボン・オフセット、会場内のリサイクル活動という案もありました。しかし、一緒に取り組める専門家やこういった取組を本質的に行うパートナーの選定に悩んでいて、具体的なイメージを持てていませんでした。GXについて一定の質を担保するという意味でも、一緒に取り組むパートナー選びは誰でも良いわけではないので、なかなか難しかったです。そんなときにTBM様をご紹介いただけたことは、とてもありがたいご縁でした。会社としてサステナビリティを推進していること、頭の中にあったサステナブルのアイディアを既に具現化されている点は、本当に心強かったです。
受託してから開催までのエピソードがあれば教えてください
シンポジウムの第1回目は、採択から開催までの期間が短かったので、企画の作り込みがとにかく重要だと認識しながら準備を進めました。過去に環境イベントを受注した経験もありましたので、企画にはある程度の私なりのストーリー性を構築できていましたそこにTBM様がパートナーとして加わりましたので、更に具体的になった施策も多く、受託につながる大きな要因の1つになったと思っています。
Adeccoはイベント会社ではないですし、環境サービスを提供している会社でもありません。あくまでも人材会社ですので、サービスは「人」になります。そうなると環境問題とは少し遠いイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、勤めている会社が環境対策に取り組んでいる、SDGsに取り組んでいるということは、求職者様の新しいニーズとして今後さらに高まると予想されます。また、中小企業のお困りごととして、人材の確保という点は良くお聞きするお話です。そこで今回のイベントで、人材とGXをどうつなげるかというのは、私の中で1つの挑戦でした。そのため、パネルディスカッションに当社の社員を登壇させて、人材業界から見たGXについて発信をしたのは、そういった狙いもありました。
第一回目のシンポジウムを終えてみた感想はいかがですか?
2つありまして、1つ目は集客です。まだまだコロナの影響が残っていて集客が難しいという時代に、目標の250名(オンライン含む)を達成できたのは、最初のハードルをクリアできたという点で少し安心しました。
2つ目は、参加者のGXへの意識です。想定よりも環境対策への意識が高かったという印象があります。中小企業はGXについてまだまだ認識が低いというイメージを持っていましたが、アンケートには「環境対策は経営上無視できない」という回答が多かったです。一方でお金や人材という課題があるという回答も複数ありました。この結果から、企業として環境対策は重要だと認識しているけど、すぐに取り組めない課題もあるため、もどかしさを抱えていると感じました。
▼参加レポート「第1回GX普及啓発シンポジウム2023に参加してきました!」
第二回目の開催に向けた意気込みを聞かせてください
1回目のアンケートを参考にしながら、より有意義な企画にしていきたいです。具体的には、すぐにGXへ取り組めないもどかしさを抱える中小企業様に対して、具体的な道筋がみえるようなシンポジウムの設計にしたいです。そういった意味では、またTBM様にも知見やご協力をいただきたいと思います。
(2024年2月上旬リアルとオンラインのハイブリッドにて開催予定)